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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

回転推理はどう発展したか

第779号 2021年8月27日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 ばらクラスの集中授業では、夏の学習の成果を見る意味で4日間連続の総合問題演習を行っています。その中で未解決の課題を探し、それを8月の終わりまでに解決しておくことを保護者の皆さまにお願いしています。子どもたちの取り組みの様子を見ていると、いまだに子どもたちにとって難しい問題があるのに気づきます。特に目立つのは、
  1. 視点を変えてものごとを考える問題
  2. 逆からの問いかけ(逆思考)の問題
  3. 回転の要素が取り入れられた問題
  4. 作業を通して答えを導き出す問題
以上の4つですが、その中でも最近の入試傾向を踏まえると 3.の難しさが深刻です。そこで今回は、回転に関する問題がどのように深化していったのかをお伝えし、何が基本かを知っていただこうと思います。

「回転推理」はもともと観覧車の問題が基本でした。

1. 回転推理(観覧車)
  • サルがネコのところへ行くと、イヌは誰のところへ行きますか。右のお部屋から選んでをつけてください。
  • ウシがブタのところへ行くと、ウシのところには誰が来ますか。右のお部屋から選んでをつけてください。

長い間、回転推理の代表的な問題として入試で出されてきましたが、この観覧車の問題が難しいのは、問いかけの仕方に2通りあるところに起因しています。
今回の問題でいえば、「イヌは誰のところへ行きますか」という問いかけと、「ウシのところには誰が来ますか」という問いかけにあるように、同じ方向に同じ数だけ進む問題と、結果として逆の方向に同じ数だけ戻る問題の2パターンがあるということが、観覧車を難しくしています。この問いかけが形を変えると、以下のような回転テーブルの問題に発展していきます。

2. 回転推理(回転テーブル)
真ん中のテーブルを見てください。このテーブルは果物をのせたまま右に回ります。
  • メロンがウサギのところに行くと、カキはどの動物のところに行きますか。右のお部屋から選んで青いをつけてください。
  • ミカンがイヌのところに行くと、クマの前にはどの果物が来ますか。左のお部屋から選んでオレンジのをつけてください。

「カキはどの動物のところに行きますか」は、観覧車でいえば「イヌは誰のところへ行きますか」と同じ趣旨の問題であるし、「クマの前にはどの果物が来ますか」は、観覧車の「ウシのところには誰が来ますか」に通じています。いずれも、後者の質問にしっかり答えていけるかどうかがポイントです。

この回転テーブルがより発展すると、以下の問題のように動物も食べ物も回るという約束になります。

3. 回転推理(回転テーブル)
果物と動物がかかれた丸いお部屋があります。
果物の丸いお部屋は白い矢印のほうに動きます。動物の丸いお部屋は黒い矢印のほうに動きます。
  • お日様の絵を見てください。
    クマが2個動くと、ウサギの前には何が来ますか。その果物を下のお部屋から選んでをつけてください。
  • お月様の絵を見てください。
    ウサギが2個動くと、ミカンのところにはどの動物が来ますか。その動物を下のお部屋から選んでをつけてください。
  • お星様の絵を見てください。
    今いるところから動物は1つ、果物は2つ動きます。ウサギのところにはどの果物が来ますか。その果物を下のお部屋から選んでをつけてください。

最初のお日様の問題は、観覧車の「どこへ行きますか」と同じ趣旨の問題で、クマと同じ数だけ同じ方向に動かせば答えはわかります。お月様の問題は「どの動物が来ますか」ですから、逆に戻るタイプです。最後のお星様の問題が、これまでの回転テーブルの問題をより発展させた問題です。つまり、動物と食べ物の両方がそれぞれ逆方向に回るというものです。「ウサギのところにはどの果物が来ますか」と聞かれていますので、まず動物を回し、ウサギがどこに行ったかを確認してから果物を回すという作業をしなければなりません。
このように発展していった問題がさらに変化すると、次のような歯車(円盤)の問題になります。

4. 回転推理(歯車)
上の絵を見てください。この2つの形は歯車のように回ります。今サルとブドウが隣り合っています。
  • 動物のお部屋が矢印の向きに1周して元の場所に戻ったとき、サルと隣り合うものはどれですか。右から選んで青いをつけてください。
下の絵を見てください。この3つの形も歯車のように回ります。
  • 乗り物のお部屋が矢印の向きに1周して元の場所に戻ったとき、右下の矢印のところには何が来ますか。右から選んで青いをつけてください。

上の問題では、動物の円盤が矢印の方向に回ると、果物はどの方向に回るかを考えなければなりません。そして下の問題になると、3つの円盤がつながっているので、乗り物が矢印の方向に回ると、果物や動物がどう回るかを判断しなければなりません。その上で、1周回るといくつ動くのかを考え、その数だけ他の歯車も回ると考えて質問に答えなければなりません。動く数と方向が問われますので、より難しい問題だといえます。

観覧車から始まって、回転テーブル、歯車と発展してきましたが、やはり基本は観覧車の問題ですので、そこをしっかり練習する必要があります。特に、なぜ逆回りしなければならないのかの説明ができるかどうかがポイントです。

回転が絡む課題として、この他にも以下のように「回転位置移動」や「回転図形」の問題もよく出されます。回転したとき、位置や向きがどのようになるのかを判断する問題です。
中学校受験の図形問題などにも、回転の要素が入り込んで問題が難問化するケースがあるようですので、ぜひ幼児期にこうした回転が絡む問題をしっかり学習しておいてください。

5. 回転推理(回転位置移動)
  • 左の三角が回転して右のようになったら、中のはどうなりますか。右の三角の中にをかいてください。

6. 回転図形
  • 上の見本を見てください。左の人の形が右に2回回ると、右のようになります。同じように、下の左の形が右に2回回ると、どのようになるでしょうか。それぞれ右から選んでをつけてください。


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講師:こぐま会 久野泰可
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