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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

合格のための学習法(13) 言語領域の出題に注目

第76号 2006/10/13(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 文部科学省は、「ゆとり教育」を反省し、新しい指導要領の中心に「国語の力」を置き、論理的思考力の育成に力を入れる方針を打ち出しました。「教育再生会議」も設置され、今後さまざまな改革案が登場することでしょう。長い間小学校入試の問題を分析していると、そうした国の教育方針や、その学校独自の授業改革の方針が入試問題に波及してくることはよくありました。一番顕著に現れるのは、校長が変わった時ですが、そうした観点で今後の入試問題を予想すると、私たちが「言語領域」として考えてきた内容が、今後かなり変化するのではないかと思います。

 小学校入学後に始まる「国語科」の内容は、4つの柱で構成されています。「聞く力」「話す力」「読む力」「書く力」がそれにあたりますが、幼児の場合は「聞く力」「話す力」が中心にならざるを得ません。これを、入試問題との兼ね合いで見てみると、「聞く力」の代表が「話の内容理解」であり、「話す力」の代表が「お話作り」です。話の内容理解はペーパー試験があるなしにかかわりなく、ほとんどの学校で出題しています。また、「お話作り」は、試験方法が、個別テストか小集団テストの形を取らざるを得ないため、すべての学校でやれるわけではありません。「口頭試問」も「話す力」を試す問題と考えれば、ほとんどの学校で実施しているわけですが、これからは、この「話す力」に関する新しい形の入試問題が出される可能性が大いにあると考えています。

 だいぶ以前から、入学後の初めての父母会で、「今の子は話すことが苦手ですから、毎日顔を見て会話する時間を十分とってください」と話す学校がたくさんありました。今の子どもの一番弱い「会話力」について、学校側も危機意識を持っているのでしょう。結論は言うけど、理由を話せない子が増えているというのです。子どもを取り巻く環境を考えると、確かに会話しなくても生活できる状況になっています。安全な遊び場もなく、遊ぶ友達もいない、その一方で、テレビやコンピューターゲームで楽しめる・・・そうした環境下で、「会話力」が育つはずはありません。だからこそ低学年のうちは、親が子どもと会話する時間を確保してほしいということなのです。

 こうした現状と、「国語力」を学習の中心に据えるという文科省の方針等を考えると、「国語力」の基礎となる「話す力」をますます重視してくるであろうことは容易に想像出来ます。お話作りだけでなく、従来からあった「二者の異同」「仲間はずれの理由説明」「自分が描いた絵の説明」「問題解決の方法とその理由説明」などが、重視されてくるでしょう。また、集団活動時における「相談の有無」や作業についての話し合い、出来あがった作品に対する命名と発表なども、今以上に重視されてくるはずです。

 これから入試までの短い期間で、最後のまとめをすると思いますが、是非行っていただきたいのは、答えの根拠を子ども本人に説明させることです。「どうしてそうなったの」という質問にしっかりと答えることができれば、理解力をチェックできるだけでなく「話す力」のトレーニングにもなりますので、ぜひ実行してください。

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