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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

「協同開発の知育教材」

第698号 2019年11月22日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 このたび、ポプラ社から「はじめてのおけいこボックス」が発売になります。このおけいこボックスは、こぐま会で実践する「KUNOメソッド」の考え方に基づき、子どもたちに楽しみながら学んでもらうように工夫した教材です。6領域の学習内容の中から特に重要と思われる課題を、具体物やカード教材を使って学べるように工夫したものです。ペーパー教材を使う前に、遊び感覚で小学校での教科学習の基礎が身につくように工夫されています。大勢の皆さまに使っていただけることを願っています。こぐま会ではこれまでも他社と協同で幼児向け教具・教材を開発してきましたが、今回のおけいこボックスはペーパー教材ではない点が特徴です。

こぐま会の会員クラスで実践している「KUNOメソッド」は、事物教育・対話教育を基本としています。授業の中で使用した教具・教材を家庭での学習用に開発し、「こぐまオリジナル知育教材」として皆さまに提供してきました。その代表的なものが「ひとりでとっくん365日」です。いまや、幼児期の基礎教育の教科書として、全国の皆さまに使っていただいております。さらにこの教材は、日本国内だけでなく海外でも高い評価を受け、韓国では幼稚園に導入されており、1万人近い子どもたちが使っています。また、最近中国では広西師範大学出版社から一般向け販売も始まっており、7カ月間で45万部以上売れたようです。そのほかにも他社と協同して開発した以下のような教材が市販されています。


こうした教材は、ただノウハウを提供するだけでなく、学びの系統性をしっかり守ってもらうため、最後までこぐま会のスタッフと議論しながら作っています。見た目の良さだけでなく、学ぶ内容の質を保証した教材づくりを目指しているからです。 国内や海外での講演会の際、最後の質疑応答の時間に多くの皆さまよりいただく質問があります。それは、「ハローキティ・ゼミで学習しているけれど、集中力が途切れてしまうことがあります。どうしたらよいでしょうか。」「100てんキッズを使って勉強していますが、長い時間集中できません。集中させるためにどうしたらよいですか。」といったものです。ハローキティ・ゼミにしても、100てんキッズにしても、基本的にはワークブックです。このワークブックだけで長時間勉強させるのには無理があります。そのためには、今回発売するような具体物教材がどうしても必要です。こぐまオリジナル教材の中には、パズルやつみ木をはじめいろいろな具体物教材を準備していますが、そうした教材と一緒に使っていただくと子どもたちの集中力も持続するはずです。もっと徹底すれば、同じような学びを生活や遊びの中で経験させるということです。「ひとりくん365日」と並行して発売した「おけいこカード」は、ご家庭で具体物をすべて用意するのは大変であるとの思いからカード化した教材ですが、はさみで切るのに手間がかかるとの声もいただきます。しかし、中国では大変支持されている教材の一つです。ペーパーワークは最後の学びとして尊重し、そこに至るまでにご家庭でいろいろ工夫されることをお勧めします。 これからも、いろいろな会社と協同で新しい教材を世に送り出していくことになりますが、先ほどお伝えしたように、どんな教具・教材を作る場合でも、学びの系統性だけはしっかりと守っていかなければと思います。ひとりでとっくん365日にしても、ハローキティ・ゼミにしても、おやこでがんばりマスター!にしても、問題構成の仕方はKUNOメソッドの年間学習計画「セブンステップスカリキュラム」に沿った内容になっています。ですから、教室に通わないで家庭で学習する場合、あるいは小学校受験を目指す場合、12冊ある問題集の1冊目から始めていただければ、こぐま会のクラスで行う学習の順序と同じ流れで学習できるということです。基本から応用へ、具体から抽象へといった学びの原則が具体的な内容として提示されていますので、学習しやすいシステムになっているはずです。 子どもの発達に合わせたおもちゃや知育玩具を専門に扱うお店や絵本専門店なども増え、子どもたちを取り巻く文化的な環境は、以前と比べると大変良くなっていると思います。それだけではなく、母親や父親の子育て支援として行われるセミナー等も増えてきました。喜ばしい限りですが、本当に信頼できる人・信頼できる考え方なのかをしっかり検証してください。ブームで終わってしまわないよう、子どもたちのためにしっかりと根付いていってほしいと思います。

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