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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

位置表象の領域で大事な入試問題

第691号 2019年9月27日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 9月22日(日)午前中にSAPIX kids  の教育講演会に登壇させていただき、「『算数脳』の育て方~図形感覚と幼児教育~」と題してKUNOメソッドによる図形教育を紹介しました。また、午後には「第4回 室長連続セミナー」を行い、「新傾向の問題とその対策」と題して、来年受験される皆さまに入試問題の実際とその学習法をお伝えしました。2回の講演会とも大勢の皆さまにお集まりいただき、熱心に聞いていただきました。あらためて、幼児教育に対する具体的な話を皆さまが求めていることを痛感しました。

さて、総まとめの学習の第2回目は「位置表象」の課題です。この領域は、図形学習の基礎として重視してきましたが、最近の入試では、この領域の問題が良く出されるようになりました。これまでの学習では、ステップごとに次のような課題を学習してきました。

ステップ1:前後・上下関係
ステップ2:左右関係
ステップ3:方眼上の位置と移動
ステップ4:四方からの観察(1)
ステップ5:四方からの観察(2)
ステップ6:地図上の移動・飛び石移動

上下・前後・左右の基本的な位置関係の中で、左右関係の理解に関する問題が入試問題の中心になっています。それは次の3つです。

1. 方眼上の位置および移動
2. 四方からの観察
3. 地図上の移動

特に2.と3.の課題には「視点を変えてものを見る」という大事な課題が含まれています。その他に別な観点で大事な課題がありますが、それは「飛び石移動」や「回転位置移動」の課題です。こうした入試の現状を踏まえ、未測量と同様に10枚のペーパーで基本的な理解ができているのかどうかを総点検しました。

  1. 点図形
  2. 方眼上の移動
  3. 右手・左手
  4. 方眼上の位置および移動
  5. 回転位置移動
  6. すごろくの応用(飛び石移動)
  7. 四方からの観察
  8. 四方からの観察と鏡映像
  9. 地図上の移動(A) 一本道の課題
  10. 地図上の移動(B) 交差点を曲がる課題

入試では学校によって出題の仕方にいろいろ工夫がなされますが、課題としてはこの中から必ず出されるはずです。ですからどんな形で問われても対応できるように、基本的な考え方が身についているかどうかを総点検することが大事です。

回転位置移動
  • 三角が矢印の方に回転して黒いの位置が変わりました。そのように動くと、ほかの形はどのようになりますか。右から選んで青いをつけてください。
  • 今度は真四角が矢印の方に回転します。黒いの位置が変わりましたね。ほかの形はどうなりますか。エンピツでかいてください。

すごろくの応用
花子さんと太郎君がすごろく遊びをしています。太郎君と花子さんは反対の場所にいて、太郎君は花子さんのほうへ、また、花子さんは太郎君のほうに向かって動きます。
  • 花子さんは1つ飛ばしで1回に2つずつ進んでいきます。3回動くとどこにつきますか。そこに赤いをつけてください。
  • 太郎君は2つ飛ばしで1回に3つずつ進みます。花子さんが今とまっているところまで行くには、何回動けばいいですか。太郎君のお部屋に、動く数だけ青いをかいてください。
  • 2人とも、また元いた場所に戻ります。今度は、2人が同時に1つずつ動きます。何回動けば同じお部屋に着きますか。動く数だけリンゴのお部屋に赤いをかいてください。

四方からの観察
机の上のつみ木をまわりから動物たちが見ています。
  • 向こう側にいるクマさんから見るとどのように見えますか。その見え方のつみ木を下から選んで青いをつけてください。
  • キツネさんから見るとどのように見えますか。その見え方のつみ木に青いをつけてください。
  • トリさんは真上から見ています。右側のトリさんのお部屋から見え方を選んで青いをつけてください。

地図上の移動
  • サルの家からクマの家まで行くのに、左に曲がるのは何回ですか。その数だけサルのお部屋に青いをかいてください。
  • クマの家からサルの家に行く時に、右側に見える家を、黄色でぬってください。

10の課題を総点検する中で、現在もなお子どもたちにとって難しいのは以下のような課題です。

  1. 方眼上の位置と、方眼上の移動の数え方が混乱している
  2. 回転の要素が絡むと、とても難しくなる
  3. 飛び石移動は、作業の仕方に個人差が見られる
  4. 四方からの観察はつみ木になると難しくなり、特に上から(下から)が難しい
  5. 鏡への映り方と、反対からの見え方が混乱している子どもが多い
  6. 地図上の移動に関しては、交差点を曲がる問題よりも一本道のほうが間違いやすい

学校によって出題はさまざまですが、新傾向の問題として考えると、やはり視点を変えて物を見る「四方からの観察」と、作業能力が求められる「飛び石移動」の問題が出題されやすい状況になっているように思います。

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