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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

いよいよ最後のステップです

第690号 2019年9月20日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 夏休みも終わり、9月第2週よりセブンステップスカリキュラムの学習も最後のステップに入りました。入試直前まで領域ごとに総まとめの授業が続きます。厳選された各領域10枚のペーパーで、入試で求められる思考法を総点検するものです。ペーパーの枚数で勝負するのではなく、1枚1枚のペーパーを大事にし、いろいろな角度から質問し理解を深めます。そのペーパーが「できたか - できなかったか」ではなく、その問題が求めている大事な思考法が本当に身についているかどうかを点検します。先週の第1回目は、未測量領域の学習でした。未測量についてはこれまで、

ステップ1:大きさ・多さくらべ
ステップ2:重さくらべ
ステップ3:長さくらべ
ステップ4:シーソー
ステップ5:逆対応
ステップ6:重さのつりあい

を学習してきました。未測量の学習は数概念の基礎をつくるもので相対化や系列化が中心になりますが、それは数概念の基礎をつくるだけでなく、すべての学習の基礎として大事です。その中で、小学校入試にもよく出される内容を10の項目に集約し、そこで求められる考え方を徹底して確認しました。

  1. 単位の考え方
  2. 長さの系列化
  3. 順対応
  4. 逆対応
  5. 長さの等分
  6. 言葉による三者関係の推理
  7. シーソー
  8. つりあい
  9. 量の保存
  10. 風呂水の変化

1.単位の考え方
  • 左上のお手本と同じ広さの形を探して、青いをつけてください。マスの数を数えて考えてください。(1分)

2.長さの相対化・系列化
  • 上のお部屋の黒い線と同じ長さのものを探して、下のお部屋に青いをつけてください。1マスにかかれたまっすぐな線と曲がった線の数を数えてくらべます。(1分)

6.言葉による三者関係の推理
  • キリンとサルとクマは、ハイキングに行っておにぎりを食べました。クマはサルよりたくさん食べました。キリンはクマよりたくさん食べました。おにぎりをたくさん食べた順にエンピツで、×をかいてください。(20秒)
  • 風呂敷包みと紙袋とカバンの重さくらべをしました。紙袋とカバンでは、カバンの方が重かったです。風呂敷包みとカバンでは、カバンの方が軽かったです。3つの物の重い順番を考えて、重い順番にエンピツで、×をつけてください。(20秒)

7.シーソー
  • シーソーを使って、4つの箱の重さくらべをしました。下に並んだ4つの箱の中で、2番目に重い箱に赤いをつけてください。また、2番目に軽い箱に青いをつけてください。(40秒)

8.つりあい
  • 上のお部屋を見てください。リンゴ1個とミカン2個はつりあっています。また、ミカン1個とクリ3個はつりあっています。では、下の1から4までのシーソーをつりあわせるためには、反対側にかいてあるものをいくつ乗せたらよいでしょうか。その数だけシーソーのあいている方に青いをかいてください。(1分30秒)

単位の考え方では、何を「1単位」とするかをしっかり確認します。広さくらべや長さくらべの場合、方眼を使うことが多いので、その方眼の何を1単位とするかをしっかり身に付けます。長さの系列化も、方眼を使った直線と曲線の組み合わせで、どれが1番長いか短いかを問いかけます。順対応・逆対応は、量の系列化の応用です。長さの等分はひもの等分で、どこを切ったらよいかを考える問題です。言葉による三者関係は、シーソー問題の発展形だと考えておく必要があります。言葉による関係推理は、場面がない場合が多く、お話を聞くだけで三者の関係を考えなければならないところが難しいと思います。聞く力、話を聞いて関係を構成する力が求められます。入試におけるシーソー問題は、四者関係の推理がよく出ます。場面の数が多かったり、つりあいの場面が入ってきたりして関係を複雑にすることで、学校側は問題を難しくしています。つりあいは、シーソーを使って行いますので、重さくらべの発展問題ですが、もうひとつ別な観点で見ると、1個と2個がつりあう、1個と3個がつりあう・・・ということを考えると、一対多対応の課題でもあるし、逆に考えて3個が1個とつりあうと考えると、包含除(わり算)の考え方の基礎でもあるのです。このつりあいの問題が入試では難問としてよく出され、それが交換の問題へと発展していきます。量の保存の問題では、「同じ」や「違う」を説明する際に論理が必要になります。この量の保存の説明ができるかどうかが、当面の課題になります。風呂水の変化の問題は、日常的に起こりうる逆対応の問題です。

未測量領域の入試問題は、この10の観点で出題されるはずです。もう一度大事な点を整理してみます。

  1. 単位の考え方は、何を1単位としたか説明できるようにする
  2. 言葉による三者関係は、どんな形で問われても正解できるようにする
  3. シーソーの問題は、五者関係まで理解できるようにする。解き方として有効な2つの方法をしっかり身につける
  4. つりあいの課題は、数における「一対多対応」の考え方を応用する
  5. つりあいの課題と交換の課題とを関係付けて練習する

ペーパーを何十枚とやるような機械的なトレーニングでは、思考力は身につきません。1枚のペーパーをいろいろな角度から質問し、どんな形で問われても答えていけるように練習してください。その際に「逆からの質問は必ずありうる」と考え練習してください。

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