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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

法則性の理解

第671号 2019年4月26日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 ステップ4の最後の課題は、「生活 他」の領域で扱う「法則性の理解」の1回目です。法則性の理解はステップ5でもう一度扱いますが、今回は「立方体の回転」「並び方の法則性」「変化の法則性」を取り上げました。法則性の理解には、この他に代表的なものとして「観覧車」「魔法の箱」がありますが、これはステップ5で取り上げることになります。では、ステップ4の法則性の理解のカリキュラムを紹介します。

step4-6 生活 他「法則性の理解1」
1. 立方体を左右に回転させ、その法則性を発見する2. 並び方の法則性を発見する3. 変化の法則性を発見する
(1) 立方体の回転
  1. 例えば、右に3回回転させると上にくる面は何色か推理する。
  2. 同様に、下にくる面は何色か推理する。
  3. 上に赤い色を出したい時は、右に何回転させればよいかを考える。

(2) 並び方の法則性の理解
  1. 色のついたおはじきを約束に従って並べる。
    (例)
    赤 青 黄 赤 青 黄 ・・・・・
    赤 青 赤 黄 赤 青 赤 黄 ・・・・・
    赤 青 黄 赤 緑 赤 青 黄 赤 緑 ・・
  2. 並んでいる図形の法則性を発見し、空欄には何が入るかを考える。
    (例)

(3) 変化の法則性の理解
変化するいくつかのパターンから、法則性を発見する。
(例)
  • 1マスずつ形が1方向に移動する。
  • 形によって動き方の約束が決められている。

(1) の立方体の回転は、立方体つみ木の4つの面に色が塗ってあり、正面にクマの絵を常に向けた状態で右や左に回転した時、上の面や下の面の色が何色になるかを推理するものです。例えば上が赤、下が黄色、右が緑、左が青の場合、右回りにまわすと青 - 黄 - 緑 - 赤の順に色が現れます。また、左回りにまわすと緑 - 黄 - 青 - 赤の順に色が現れます。この順序を踏まえ、例えば「右に3回回すと上は何色になりますか?」また、「左に3回回して、そのまま右に2回回すと上は何色になりますか?」などと問いかけます。出てくる色の順番を踏まえ、その規則性を発見できるかどうかが問われます。逆に、「上に緑を出すためには、つみ木をどのように回せばよいですか?」という問いかけも可能です。

(2)-1. の並び方の法則性は、よく図形を使って行うため、「図形系列」と呼ばれることもあります。授業では最初におはじきを使い、いろいろな並べ方を学びます。
赤 - 青 - 黄 - 赤 - 青 - 黄・・・と並べ、その後に続くようにおはじきを置かせます。
また、赤 - 青 - 赤 - 黄 - 緑 - 赤 - 青 - 赤 - 黄 - 緑・・・と並べたりします。これは5つのかたまりの繰り返しですが、赤が2回出てくるところが難しいと思います。
また、赤 - 青 - 黄 - 赤 - 緑 - 赤 - 青 - 黄 - 赤 - 緑・・・と並べたりもしています。

(2)-2. がいわゆる図形系列と呼んでいる問題です。図形がどのような約束で並んでいるかを発見し、空欄を埋めていく問題です。この問題は、2つの解き方が可能です。
1つは口ずさんでやる方法で、最初のうちに基本パターンが出ていれば、口ずさんでやれば自然と分かります。問題は、最初の方に空欄があり、繰り返しのパターンが分からない場合です。こうした場合は、指送りの方法が便利です。同じ形に指を置き、進んだり戻ったりして同じものを探し空欄を埋めるやり方です。この2つの方法でどんな問題も解決可能ですが、同じものが繰り返したりする場合の並び方が若干難しいように思います。

(3) 変化の法則性を自ら発見する

最後の課題は、並び方の法則性を理解するものです。方眼上のマス目を、いくつの形が移動しているとします。どのように動いて位置が変化しているかを考えます。


例えば上記の場合、は上に1つずつ、は右に1つずつ動いていることが発見できれば、その約束に従って最後に形がどこに行くかを明らかにすることができます。最近の小学校入試は、この出題が増えている傾向にあります。では、どんな形式で出題されるか見てみましょう。

1. 図形系列
  • それぞれの横に並んでいる形がどんなお約束で並んでいるか考えて、空いているお部屋に形をかいてください。

2. 回転推理
上のサイコロを見てください。笑っているクリの絵の反対側には、笑っているクリの絵がかいてあります。リンゴの絵や怒っているクリの絵の反対側にも、それぞれと同じ絵がかいてあります。
  • このサイコロを矢印の方向に1回転がしたとき、1番上には何の絵がきますか。下の絵から選んで青いをつけてください。

3. 回転推理
上の絵を見てください。このウサギの絵がついているサイコロは、スタンプになっていて、横に転がすと右のような順番で動物の絵がつきます。
  • では、下のサイコロを右のマスの数だけ転がしたとき、のところにはどの動物の絵がくると思いますか。下の動物のお部屋から選んで青いをつけてください。1番下は、マスの数だけ横に転がったあと、こちらに1回転がります。

4. 法則性の理解
  • マスの中の形が、あるお約束で動きます。どんなお約束で動いているか考えてください。1番右のお部屋ではどうなりますか。マスの中に形をかいてください。

1番目の問題は典型的な図形系列の問題です。最初の2問は、口ずさめば並び方の約束は分かってきます。3問目はの前が何かをつかめればあとは簡単にできます。4問目は、黒丸の位置が上・下・右・左に動いていることがつかめれば、空欄はすぐに埋めることはできそうです。これが図形系列の基本だと考えておいてください。

2番目は、わたしたちの授業で行っていることがそのまま出た形です。このサイコロの場合、向き合っている面には、同じ絵が描いてあるということを押さえてやらなければなりませんが、そのことで難易度が上がるというわけではありません。ただ、回転の仕方が左右だけでなく手前に転がしているところが難しいかもしれません。

3番目のスタンプの問題は、どの面にどんな動物が描かれているかを、サイコロの回る方向とスタンプされる絵とを考えて特定しないといけません。その作業ができれば、あとは図形系列と同じ考え方でできるはずですが、最後の問題のこちら側に1回転するという意味をどうとらえられるか、そこが難しいかも知れません。

4番目は方眼上を動く形の動き方をとらえる問題です。上の問題は、×は横の列に移りながら上下を繰り返し、は同じ段を左右に飛ぶ動きをしています。また、下の問題は、は右に1つずつ、と×は下に1つずつ、は左に1つずつ動いています。それを発見できるかどうか観察力が問われます。最近は図形系列に変わってこの種の問題が増えています。

法則性の理解に関する問題は「考える力」を求める典型的な問題です。どのように考え、どのように作業したか・・・答えを出すプロセスを必ず言語化させるようにしてください。

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