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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

図形分割

第667号 2019年3月27日(水)
こぐま会代表  久野 泰可

 「ステップ4」の4回目の学習は、図形領域の「図形分割」です。図形構成―図形分割は、表裏の関係ですからセットで考え、学習も関連付けて行うのがいいと思います。別の視点に立って考えるという意味では、とても良い学習経験だと思います。図形構成・図形分割の基本教材はやはり三角パズルですが、それ以外に折り紙を使った学習も効果的です。図形感覚を磨く素材はたくさんあるにもかかわらず、そうした素材を使わないでペーパーだけやりこなすことは、図形感覚を育てるせっかくの機会を失ってしまうことになります。その意味では、小学校の図形教育のあり方にも問題があります。身近にある有効な素材を使わないで、知識として図形教育を行っていこうとする現在の図形教育は改善されなくてはなりません。
パズルや折り紙に触れ、働きかけて図形感覚を磨くことを、幼児期における図形教育の原点にしなければなりません。そうした考え方に基づき、今回の図形分割では折り紙と三角パズルを使い、図形構成と図形分割をセットで学習しました。カリキュラムは以下の通りです。

step4-4 図形「図形分割」
図形をいくつかに分割したとき、それぞれがどのような形になるのかを判断できるようにする。
(1) おり紙を切る
  1. 1枚のおり紙を指示された形に切り、切ったものを再構成する。
  2. 基本図形を線の通りに切ると、どんな形がいくつできるかを考える。
(2) 三角形の構成と分割
  1. 三角パズル8枚を使って、指示された形を作る。
    「同じ大きさの三角を4つ作ってください」
    「同じ大きさの三角を2つ作ってください」
  2. 三角パズル8枚を使って、見本と同じ形を作る。
  3. 指示された形を4つの三角に分割する。
(3) ペーパートレーニング

最初に折り紙を使い、指定した形を作ってもらいました。見本を見せたのでは意味がありませんから、言葉で指示します。「この折り紙を使って、長四角1つと真四角2つを作ってください」「大きな三角1つと小さな三角2つを作ってください」・・・こうした指示に従って、折り紙を折ってからはさみで切り、また折っては切り・・・を繰り返します。1枚の真四角を指示された形にするには、どのように折り、それを切ったらどんな形ができるのかをイメージしなければなりません。あまりが出てはいけませんから、切った形を組み合わせたら真四角ができることをイメージできなければなりません。ここで求められる感覚は、図形構成で培われた感覚のはずです。今度は、基本形をいくつかの形に切る線を見て、それを切るとどんな形ができるかを判断させる学習をしました。

次はいよいよ三角パズルです。三角パズルの学習方法はいろいろありますが、こぐま会では8枚の三角パズルを使って、いくつかの形を作ります。まず最初は言葉で指示された形を作り、そのあとで見本を見て作ります。

言葉での指示は、次のような順番で行います。子どもたちは、常に8枚の三角パズルを持っています。
  1. 小さい三角を4つ作ってください
  2. 小さい真四角を4つ作ってください
  3. 中くらいの三角を2つ作ってください
  4. 長四角を2つ作ってください
  5. 真四角を2つ作ってください
  6. 大きい三角を1つ作ってください
  7. 大きい真四角を1つ作ってください
  8. 大きい長四角を1つ作ってください
以上が三角パズルの基本トレーニングです。

このあと、8枚の三角パズルを使って見本と同じ形を作ってもらいます。お手本は次のとおりです。

基本となる2枚・4枚の基本形がどこに隠れているかをすばやく探せるかどうかがポイントです。その意味で、最初のトレーニングで行った1~5の課題が重要です。お手本を見たとき、どこに基本形が隠れているかを探し当てる眼を育てておくことが大事です。
この三角パズルの構成を逆にした「図形分割」のひとつの例として取り上げた課題は、出来上がった形を4つの三角に分けるという課題です。今回は基本形を4つの三角に分割する課題ですが、もう少し枚数の多い見本も同じようにいくつかの三角に分けることができるように練習してください。これが三角に分割する基本練習です。

さて、小学校入試ではどんな課題が出題されているか見てみましょう。

1. 図形構成
  • 右にばらばらに置かれた形の中から4つを使って、左の形を作りたいと思います。そのときに1つだけ使わない形があります。その形にをつけてください。

2. 図形構成
  • 左の絵を作るときに、使わないパズルはどれですか。それぞれ右のお部屋から選んでをつけてください。

3. 図形分割
  • 上にある形を線のところで切ってばらばらにしたとき、出来ない形を下から選んでをつけてください。

4. 図形構成
  • 左のお部屋にある形を4つ使って、作ることができないものをそれぞれ右から探してをつけてください。形を重ねてはいけません。

図形分割の基本は3の課題です。4は図形構成の課題ですが、答えを導き出すためには指示された形四つに分けられるかどうかという発想が必要です。このように図形構成の課題でありながら、答えを出すためには図形分割の発想が必要な問題が多く見られます。1・2も図形構成の課題ですが、図形分割を学ぶためにも良い課題です。このようなペーパーでの課題をすばやく・正確に解くためにも、折り紙やパズルを使った学習を徹底してください。

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