週刊こぐま通信
「室長のコラム」いよいよステップ4の学習に入ります
第663号 2019年3月1日(金)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

こぐま会のばらクラスの授業は、今週から「ステップ4」の学習に入りました。ステップ4までが基礎段階の学習ですが、ステップ3と4の学習と関連して多くの入試問題が出されています。特に最近は全体として問題が易しくなってきていますので、基礎をしっかり固める意味でも、このステップ3と4をしっかり学習してください。先週までに終わったステップ3では、次のような内容を学習しました。
未測量 | 長さくらべ |
---|---|
位置表象 | 方眼上の位置と移動 |
数 | 等分 |
図形 | 同図形発見、点図形 |
言語 | 話の内容理解、お話づくり |
生活他 | 分類(2) |
この学習と関連して出される入試問題の中で、何が重要でどこでつまづくかを箇条書きにまとめてみました。
- 「長さくらべ」では、「個別単位」といって単位の考え方が求められます。方眼上の一辺を一単位として、どの道がいちばん長いか、2番目に長い道はどれかなどを探す問題です。その発展として、方眼の1マスを一単位として考えた場合、どの庭がいちばん広いかといった問題があります。この場合、三角をどのように数えるかが問題となります。三角2つで真四角1つ分という考え方ができるかどうか。塗られた場所の数だけで考えてしまわないかどうかが問われます。
- 「方眼上の位置」に関しては、下駄箱で靴の入れる場所を探したりする問題がよく出されます。指示された場所を特定するだけでなく、ひとつの場所を4つの違う言い方で説明する問題も出されます。一方で、方眼上を移動する問題もよく出されます。移動の際の数え方を間違わないようにすることがポイントです。
- 「数の等分」の前に「量の等分」を学習しました。量の等分は3等分がポイントです。また、数の等分は、あまりのある数の等分ができるかどうかが問われます。具体物ではできても、ペーパーになるとできなくなるのには理由があります。ペーパーでは線で結んだり囲んだりする作業をするのですが、その作業の意味を十分つかまないまま行うと、作業ができていても、答えを記す時に間違えてしまいます。特に線で囲む場合、囲んだ中の数が1人分なのか、配る場合の1個目なのかをよく理解していないといけません。
- 「同図形発見」は、短時間でどれだけこなせるかがポイントです。また、「点図形」は昔からある典型的な入試問題ですが、最近では、そのままの形では出題されません。「対称図形」や「重ね図形」とセットになって出されます。斜めの線が多く入った見本になると、まだ正確に描けない子も見られますので、繰り返し練習してください。
- 「話の内容理解」は、どんな設問があるかを予想立てして聞くと意外と外れてしまいます。それよりも物語を深く理解し、物語全体を聞いて楽しむという気持ちで関わったほうが正解できるように思います。記憶の要素が強い問題ではありますが、やはり物語を聞いて楽しむという姿勢が大事です。
- 「分類」課題はステップ1でも行いましたが、今回はトランプ型のカードを使って行いました。「4つの形・2つの色・3つの数」がトランプの要素ですが、共通性を見つけ出し、「仲間あつめ」や「仲間はずれ」をしたりするものです。いずれにしても、「なぜ仲間なのか、なぜ仲間はずれなのか」という質問には、必ず言葉で説明させてください。また、一度つくった仲間をこわし、別の観点で仲間あつめをする「観点を変えた分類」は、考える力が求められる大事な課題です。
ここまでが、先週まで行ってきたステップ3の学習ポイントです。今週から始まるステップ4の課題は、ステップ3以上に入試ではよく出されます。どんな学習なのか挙げてみましょう。
- 未測量「シーソー」
- じゃんけん・競争による三者関係
- シーソーによる関係推理(三者~五者関係)
- 言葉による関係推理
- 位置表象「四方からの観察」
- 四方からの具体物の写生
- カードを使った場所さがし
- いろいろなものを四方から観察する
- 数「一対多対応」
- 具体物を使った一対多対応
- おはじきを使った一対二・三・四対応
- 包含除の考え方
- 図形「図形分割」
- 折り紙を使った図形分割
- 三角形の構成と分割
- 言語「話の内容理解・昔話」
- 短文復唱
- 話の内容理解(善悪判断)
- 昔話
- 生活 他「法則性の理解」
- 立方体の回転
- 並び方の法則性の理解
- 変化の法則性の理解
1回1回の内容が、即入試問題になるような課題ばかりです。特にこの中で「シーソー」「四方からの観察」「法則性の理解」は、毎年必ずどこかで出題される内容です。その一つ一つを、具体物やカードを使った段階からきちんと指導し、最終的にペーパーでどんな問題が出されても戸惑わないような基礎学力を身につけさせたいと思います。1回1回の内容と子どもの取り組みの様子は、終了した段階で順次報告していきます。