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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

AI時代に活きる幼児教育

第657号 2019年1月18日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 昨日集英社から、『「考える力」を伸ばす - AI時代に活きる幼児教育』と題した新書を出版させていただきました。世界中で幼児教育への関心が高まる中で、46年間の実践活動を総括し、「KUNOメソッド」の内容と方法を具体的に明らかにしました。私にとって5冊目の本になります。漠然とした議論になりがちな幼児教育改革に対し、子どもたちのいる現場から「考える力を育てる」内容を具体的に紹介し、停滞気味の幼児教育改革議論に一石を投じたいと想い、書き下ろしました。

「考える力」を伸ばす - AI時代に活きる幼児教育
【目次】

はじめに
第1章 日本の幼児教育の問題点
ヘックマン教授が指摘した幼児教育の重要性
世界から後れをとる日本の幼児教育
教える側がかかえる問題
幼児期にこそやるべきことは何か
第2章 本当に必要な幼児教育とは何か
「KUNOメソッド」はどのようにしてできあがったか
第3章 進化する幼児教育 - 「KUNOメソッド」
「KUNOメソッド」を支える基本理念
1. 教科前基礎教育 - 将来の算数や国語の基礎となる学習 2. 事物教育 - 教え込み主義教育の対極にあるもの 3. 対話教育 - 理解度と考え方の根拠を対話で確認
「聴く・話す」力が大事
第4章 学力よりも意欲の時代へ - 小学校受験も変化している
学力偏重の弊害
小学校入試が変わってきている
非認知能力をどう育てるか
第5章 幼児教育が目指すゴール
おわりに

第1章では、日本の幼児教育の問題点を、さまざまな視点から検証しています。40年以上知育を毛嫌いし、何も変わらない「遊び保育」の背景を分析し、これからの幼児教育ですべき具体的な目標を提案しました。
第2章では、「KUNOメソッド」がどのようにして出来上がってきたのかを、教育理念を支える理論的背景などを通して伝えています。
第3章では、「KUNOメソッド」の内容と方法を、(1)教科前基礎教育 (2)事物教育 (3)対話教育 の3つの柱で紹介しました。
第4章では、小学校受験の実態をいくつかの観点で分析し、今はやりの非認知能力の重要性を述べました。
第5章では、幼児教育が目指すゴールを私なりに考え、「考える力を育てる教育」をどう実践すべきかをまとめました。

AIの発達によって、社会生活のあり方が変化していく時代の中で、人間の果たす役割は何か・・・それは考える力を深め、新しいものごとを創造できる人間、付加価値のつけられる人間になることだと思います。そのために必要な能力は、教えられた知識をどれだけたくさん持っているかではなく、知識を使いこなし、新しい関係・新しい価値を生み出すことです。その礎になる幼児期の教育にこそ最大の投資をすべきです。そして、質の高い教育をどう実現すべきか・・・これは幼児教育に携わるすべての人間が取り組まなければならない課題です。 この本がそうした議論のきっかけになっていただければ、こんなに幸せなことはありません。

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