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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

第4回KUNOメソッド交流会

第654号 2018年12月21日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 12月16日夕方より「第4回KUNOメソッド交流会」を行いました。この交流会は、毎年この時期に実施しているもので、「KUNOメソッド」を提供している多くの企業様にお集まりいただいています。お互いの仕事の進み具合を報告し、新しく参加された皆様とは問題意識を共有し、ともに発展していく場になってほしいという想いから続けています。KUNOメソッドを使って幼児教室を運営するだけでなく、幼稚園・保育園の正課やアフタースクールで導入したり、KUNOメソッドの考え方に沿った教材・教具を開発したり、ネットを使った通信教育を行ったり・・・と、それぞれの得意な分野で「KUNOメソッド」を活用したビジネスを展開していただいています。2018年12月現在、教室事業は国内8社、海外6社に及び、学校・幼稚園関係では3校、また教材開発・出版関係では5社に及んでいます。特に今回は、シンガポール・ジャカルタ・上海・バンコク・韓国からも参加していただき、総勢約80名のにぎやかな交流会になりました。また、新しく認知症予防のための教材開発も始まりました。「KUNOメソッド」は、幼児だけでなく、人間がものごとをどのように認識していくかという共通の観点から、高齢者の認知症対策に生かせるのではないかと期待しています。豊川にある病院に出向き、こぐま会の教材がどのように使うことができ、認知症対策にどれだけ有効かを実際に使っていただいて検証しています。新しいブランド名で、近いうちに教材を世に送り出すことになると思います。

今年も海外の教室が増えました。特にシンガポールと上海では、現地の方々にも大変すばらしい教育だと評価していただき、広がり始めています。また、ジャカルタに続き、タイやベトナムの日本人向け教室(すでに現地人向け教室は始まっています)でも授業が開始され、来年には、台湾の現地人向け教室も始まる予定です。一方教材開発では、来年3月下旬から販売される「おやこでがんばりマスター!」にも大きな関心が寄せられています。アニメを使って、教室に通えない子に同じ学びを届けたいという考えから、「おうち幼児教室」のキャッフレーズで世に送り出す教材です。見習い忍者の「ハル」が、さまざまな困難を乗り越えて忍術を高めていくストーリーですが、96話の物語のなかで、1年間の教室で行うセブンステップスカリキュラムの学習が行われ、学ぶ順序も教室で行う授業に準拠して作られています。12月20日の午前中に、吉本興業東京本社で記者発表が行われ、多くのメディアの方々が集まりました。すでに、「ひとりでがんばりマスター!」は販売していますが、「おやこでがんばりマスター!」は事物教材もついて、アニメの主人公と同じ学びを進めていくという構成になっています。これまでの通信教育とは違った新しい発想の教材ですので、ぜひご期待ください。

また、来年1月17日には、集英社から『「考える力」を伸ばす:AI時代に活きる幼児教育』と題した新書が出版されます。これは、私の開発した「KUNOメソッド」の考え方を、幼児教育を取り巻く日本の状況も踏まえ、理論的背景や実際の授業内容を説明したものです。幼児教育の指導の現場にいる方々だけでなく、教育関係者の皆さま、今子育て中のお父さま・お母さまにぜひお読みいただきたいと思います。

30年前、恵比寿の小さな教室から始まった「こぐま会」の教育は、小学校受験対策も含め、幼児期の基礎教育のメソッドとして受け止めていただき、多くの皆さまから信頼され今日に至っています。子どもの成長の芽を摘み取ってしまう教え込みの教育ではなく、自分で考え、判断し、行動できる子どもに育ってほしい。そのために、「事物教育」と「対話教育」をしっかりと実践してまいりました。人工知能の発達で大きく変わっていくこれからの社会で、新しい価値を創造し、社会に貢献できる人間に育ってほしい。そのために必要な「考える力」を幼児期のうちからきちんと育てたい・・・使命感ともいえるその私の強い想いを共有していただき、さまざまな分野で先頭を走っている企業の皆さまに、それぞれの得意な分野で「KUNOメソッド」を発信していただきたい・・・そんな想いから、企業秘密ともいえるメソッドを提供してきました。教育は特定の人の独占物ではなく、万人が共有して初めて定着していくと信じているからです。私のコラムの内容も含め、「先生、それは出しすぎですよ」と忠告してくださる方もたくさんいます。その忠告をあえて振り切って、入試情報も教育メソッドも公開してきたのは、私が元気なうちに、日本の幼児教育に大きな変化をもたらしたい・・・そう考えているからです。コピーされるリスクも十分承知していますが、最後に残るのは本物だけだと信じています。

中国では「ひとりでとっくん365日」の海賊版が10社以上から発売され、なんとアリババのサイトで購入できるようになっています。しかし来年2月、上海の大手出版社から中国版「ひとりでとっくん365日」が発売されます。国の承認を得た正規の出版社から出れば、コピー商品は裁判ですぐに駆除できるようです。こうした戦いをしながら、メソッドを広める努力はこれからも続けていかなければなりません。

日本においても、小学校受験についてマスメディアを通して偉そうなことを言っている方が、自身が関係する塾でこぐま会の教材をコピーして使っているという事実を把握しています。日本でも中国と同じように、知的財産権を侵害する行為が横行しています。それが有名人であるためになおさら許せないのですが、しかし平気でそんな行為に及ぶような塾で、一体どんな教育が行われているのでしょう。いずれ保護者から見放され、消滅していくだけです。だからこそ私は心配していません。正々堂々と前を向いて進んでいくだけです。

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