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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

「おやこでがんばりマスター」制作裏話

第655号 2018年12月27日(木)
こぐま会代表  久野 泰可

 12月20日、吉本興業株式会社東京本部で「おやこでがんばりマスター!」発表会が行われました。来年2月下旬から発売されるアニメを使った学習教材「おやこでがんばりマスター!」は、こぐま会の授業進度に合わせて作られた全96話で構成されています。毎月8話ずつ1年間続けてご家庭に届けられる「おうち幼児教室」の学習教材です。

4年ほど前、アニメ制作で有名な「株式会社ピーエーワークス」の幹部の方が私の授業を見学され、90分間楽しく学習している幼児の姿に大変感動されたようです。その後、「教室に通えない子どもたちにアニメの力を使って教室と同じ授業を届けたいので、メソッドを提供していただけないか」との要請を受けました。私は、幼児期の教育は基本的に対面であるべきだと考えていましたので少し躊躇しましたが、私の最低限の要求を受け入れていただき、快諾させていただきました。その要求とは、次のようなものです。
  1. 従来の通信教育のように、一方的に教材を届けるようなものにはしない
  2. 主人公と一緒に楽しく学べるようなストーリーにしてほしい
  3. 事物教育の要素を取り入れるために、具体物教材もセットにする
  4. 対話教育のチャンスを多く取り入れる
  5. ペーパーのテキストも使うが、それは最後の学習手段とする
  6. 授業の意図を保護者に伝える機能をきちんとつくる

これらを受け入れていただき、4年前から制作が開始されました。ピーエーワークスは富山県南砺市の城端にありますので、スタッフの方が私の授業を恵比寿まで見学に見えたり、私も城端まで出向いて議論を重ねたりして構想を練りました。スタッフの方は、私の1年間の授業を記録したDVDを毎日のように見て、授業の内容や問いかけの仕方を分析されたようです。また、ひとりでとっくん100冊シリーズ合計3,000枚のペーパー教材を1枚1枚ていねいに分析し、問題の難易度や学びの系統性を学んだようです。

この「おやこでがんばりマスター!」は、見習い忍者の主人公「ハル」がさまざまな困難にぶつかり、問題を解決していく過程でいろいろな学習をし、忍術を身につけていく物語です。そこで学習する中身は、私が開発した「セブンステップスカリキュラム」と同じ内容であり、学習順序も変わりません。私がお願いしたのは、登場人物が取り組む学習と同じ内容を、子どもたちが実際の教具・教材を使ってご家庭で行えるようにしたい、そして物語の中で「ハル」の先生役である「ふでまる」が、子どもたちの先生にもなるようにしていただきたいということでした。子どもが物語の中に自身を投入し、一緒に学習できるようにしてほしい・・・その願いはしっかりと受け止めていただき、物語もそのとおりに仕上がっています。
すでに1年半前から「ひとりでがんばりマスター!」の方は完成し、販売しています。これは、こぐま会のベストセラー教材である「ひとりでとっくん365日」をアプリ化したもので、従来の通信教材とあまり変わりませんが、今回の「おやこでがんばりマスター!」は、一方的な教材提供ではなく、アニメの主人公と一緒に学ぶという組み立てになっています。

構想から完成まで4年の歳月がかかりました。開発には相当の資金が必要になります。この商品の販売主体である「株式会社PALABO」は、ピーエーワークスの子会社になりますが、PALABOの呼びかけで出資にご賛同いただいた企業の共同プロジェクトとして、世間に送り出すことになりました。吉本興業で発表会を行ったのも、そうしたご縁でご一緒させていただくことになったからです。

商品が完成されるまでには、試作品を子どもたちに見せ、その反応を制作スタッフに伝えたり、城端の本社とテレビ会議を通じて完成した作品を見ながら、子どもたちへの問いかけの仕方に問題はないか、学習内容に飛躍はないのかなどを一つ一つ点検しながら完成させていきました。アニメの楽しさとそこで学ぶ教育内容とをうまく融合させながら作り上げた作品です。「おうち幼児教室」のキャッチフレーズのとおり、ご家庭でも教室と同質の学習ができるように仕上がっています。それに加えて、「ひとりでとっくん365日」の特長である保護者への指導書のように、96話の学びすべてに教育意図の説明をつけました。何のための学びかを保護者の皆さまにお伝えし、生活や遊びの中で関連した体験や学びをやっていただきたいと考えています。このアニメを使った対面の幼児教室「忍者ふでまる教室」の設立構想も現在進行中です。また、幼児だけで6,000万人いるという中国を始め、東南アジアの国々にも、このアニメを通じて「KUNOメソッド」の教育内容を伝えることができれば・・・と期待しています。日本を象徴する「忍者」は、海外でも必ず受け入れてもらえるはずです。映像もきれいに仕上がった作品ですので、どうぞご期待ください。

こぐま会 ニュースリリース
『親子でがんばりマスター』発表会の様子
発表会の様子はこちらのサイトでも紹介されています。

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