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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

ステップ7の学習に入りました

第641号 2018年9月14日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 9月8日(土)の夕方から夜にかけて、今年受験される保護者の皆さまを対象とした、お父さまのための勉強会「土曜ゼミ」が行われました。今回で5回目になりますが、定員を超す大勢の方々のお申し込みがありました。今年度最後の土曜ゼミは、以下の内容で行いました。

小学校受験を正しく理解する
お父さまのための勉強会「土曜ゼミ」第5回
  1. 今子どもたちが抱えている学習面での問題点
  2. 学習面の最終チェックですべきこと
  3. 入試までの過ごし方 ~ これから子どもに起こる深刻な問題を未然に防ぐために
  4. 願書・面接対策

私の方から1時間ほど学習面に関するお話をさせていただいた後、願書添削や面談を担当する教務部長から、願書・面接に関するアドバイスをさせていただきました。その後、8時過ぎから10時過ぎまで懇親会が行われ、最後に決意表明のような形で、お父さまお一人ずつにお話をしていただきました。奥さまに勧められ渋々申し込まれた土曜ゼミに5回連続で参加されたお父さまは、この会に参加するのが楽しみになられたようです。お父さま同士で悩みを話し合う大変よい機会にもなられたとのことです。「我が家にとっての小学校受験」を、さまざまな視点でお話ししてくださり、お子さまを預かる私たちとしてもいろいろ勉強させていただきました。受験が終わったら再会することを約束して散会いたしました。これから願書提出まで、お子さまよりも保護者さまの方が忙しくなりますが、家庭学習だけはこれまでどおり変化なく続けていただきたいと思います。

さて、今週から受験を控えたばらクラス(年長)の日常授業の方は、「ステップ7」に入りました。夏休み前までにすべての領域の学習を終え、夏休みの集中授業で受験に向けた総合演習を5回ほど行いました。その上で、今週から最後のまとめの授業に入りました。こぐま会では、幼児期の基礎教育を前提に受験対応を考えていますので、扱う入試問題も基本となる6つの領域に分け、学びの系統性を大事にしながら指導しています。これから入試直前まで最後のまとめの授業を行いますが、入試直前のこの時期に難しい問題ばかりをやりすぎて自信を失うのが一番よくないことですので、基本問題を中心に、入試でよく出る問題はそのレベルを意識した指導を計画しています。

毎回10枚のペーパーを30分ほどかけてテスト形式で行い、その後の答え合わせと解説に時間を相当かけ、1枚1枚の答え合わせの中で、どんな質問だったのか、どうしてその答えになったのか、考え方のプロセスを言語化する点に力を注いでいます。その言語化によって理解を確実なものにし、自ら考える力を定着させていくのです。

ところで、まとめ第1回の授業は「未測量」の領域で、10枚のペーパーを使いました。

  1. 単位の考え方
  2. 長さの相対化・系列化
  3. 順対応
  4. 逆対応
  5. 長さの等分
  6. 言葉による三者関係の推理
  7. シーソー
  8. つり合い
  9. 量の保存
  10. 風呂水の変化

この中で入試によく出る課題は、単位の考え方・言葉による三者関係の推理・シーソー・つり合いの4つです。特にシーソーに関する問題が数多く出されています。

単位の考え方は、小学校2年生で学ぶ「長さ」や「かさ」、4年生で学ぶ「面積」に繋がる普遍単位の考え方の前に行う大事な学習です。単位の学習は次のように4つの段階があり、小学校受験では3.の個別単位まで出題されます。
  1. 直接比較
  2. 間接比較
  3. 個別単位
  4. 普遍単位
個別単位は、普遍単位につながる大事な学習です。あるものを「1」単位と考えた時、それがいくつ分になるかによって比較が可能になります。問題は何を「1」と考えるかです。例えば広さくらべならば、方眼の1マスを1と考えるか、その半分の三角形を1単位と考えるかが問われます。以下がその典型的な問題です。

  • 左上のお手本と同じ広さの形を探して、青いをつけてください。マスの数を数えて考えてください。

また、長さくらべになると次のような問題が考えられます。その際、直線と曲線の何を1単位と考えるかが問われます。

  • 上のお部屋の黒い線と同じ長さのものを探して、下のお部屋に青いをつけてください。1マスにかかれたまっすぐな線と曲がった線の数を数えてくらべます。

言葉による関係推理の課題は、三者関係の推理が基本ですが、入試では四者関係も問われます。場面がなく、話を聞いて考えなければならない分、難易度が高まります。ただこの問題は、大人よりも子どものほうが得意ですから安心してください。さまざまな技能を身につけた大人よりも、聞くだけで関係を考える子どものほうが得意です。

最後のシーソーを使った課題では、難易度を決めるいくつかの要素があります。
  1. 重さの系列化は三者関係が基本だが、四者関係・五者関係もありうる
  2. 三者関係が理解できてもすぐには四者関係には進めないが、四者関係が分かると、五者関係の理解へのハードルはそれほど高くない
  3. 下がったり上がったりするシーソーの中に、つりあいの場面が入る場合もある
  4. つりあい単独の課題は、数における交換の問題に繋がっていく
  5. つりあいの発展としての交換の問題は、置き換えの発想ができるかどうかがポイント

「未測量」の領域は、数や図形の領域ほど出題頻度は高くありませんが、出されるときはかなり難しい問題となります。論理的思考力が求められる問題が多く、聞き取りや作業能力も同時に求められます。それだけでなく、学校側もいろいろ工夫し、今までどこにも出ていない問題をつくるのにはうってつけの領域になります。その意味で、個別単位の考え方や、関係推理・シーソー・つりあいの問題はしっかり練習しておくことが大事です。同じ問題が出るわけではありませんから、考え方をしっかり身につけておいてください。

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