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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

第3回 KUNOメソッド交流会

第605号 2017年12月22日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 私が開発した「KUNOメソッド」を使って、さまざまな分野で活動されている企業・個人の皆さまにお集まりいただき、仕事の進捗状況や今後の活動見通しを伝え合う「第3回 KUNOメソッド交流会」が12月17日(日)に行われました。遠く海外からも参加され、70名ほどが集う会となりました。KUNOメソッドネットワークにご参加いただいている企業様は、現在以下のように合計26法人となっています。
教室事業:14社(国内6社・海外8社)
幼稚園関連:4園
教材販売・出版:4社
ICT関連:4社
教室運営を中心に、教材開発及び教材販売関連が多く集まっています。特に今回の交流会の特徴は、新規に参加された企業様が多かったということです。日本のみならず、世界中の「幼児教育ブーム」が、企業活動に大きく影響しているということがうかがえます。特に今年は、
  1. 海外からメソッド使用の要請が多く、特に一人っ子政策を解除した中国からが多い
    また、これから教育によって人材作りを目指す開発途上の国からの要請も見られる
  2. 小学校とのつながりを明記した国の方針に沿って、幼稚園で「KUNOメソッド」を導入したいという動きが多くみられる
  3. 高齢者の認知症対策のためのメソッドづくりに、タブレットを使った実証研究が始まるなど、幼児教育分野以外でも「KUNOメソッド」を活用した活動が始まる
などの動きが見られます。

こうした新しく出会った方々の多くが、ホームページのコラムに書き続けてきた私の幼児教育に対する考え方・実践に賛同されて集まっているという点で一致しているため、それぞれ異なる業態であっても、今回の交流会では共通の話題で盛り上がっていました。この輪が大きくなっていくことで、「KUNOメソッド」の考え方が広がっていくことを願っています。

教室の指導現場に身を置きながら、こうした方々との仕事を拡大するために、今年も5回ほど海外に出向き、講演会・体験授業・発達診断テストなどを行ってきました。定期的な授業が組まれていない日曜日~火曜日までと、通常クラスがお休みとなる冬休みや春休みを使って、海外での講演会をこなしてきました。最近は、飛行機での移動が長時間になると次の日の授業に差し支えるために、無理の無い日程でこなしていますが、それでも体力の衰えか、昔のようにはいきません。来年はシンガポールにおいて、1月には現地人向けの教室が、2月には駐在している日本人向けの教室が始まります。また3月からは、南京において現地人向けの教室が始まり、その月の後半にはアフリカでの教育支援に関する調査も始まります。日本以上に幼児教育に対する関心が高く、特に「考える力」を育てるメソッドを探している国が多いため、そうした国の方々から、「KUNOメソッド」に対する期待が寄せられています。宗教や文化などの違いによる内容の変更もありますが、事物教育に対する意識がこんなにも高いのかと、驚かざるをえません。

一方で、教材や教具の開発についてもいろいろな方面から提携のお話があるため、こぐま会独自で行うのには無理のある開発については、専門性を生かしてお願いするようにしてきました。しかし、カリキュラムや教材の内容には、私自身に責任がありますので、そうした方々との打ち合わせも以前より多くなり、授業が組まれていない午前中に会議を頻繁に行っています。

私の実践活動45年間の中では、現在は第二次の幼児教育ブームだと思っています。第一次は、井深大氏の著書『幼稚園では遅すぎる』に触発されて、幼児教育がブームになった時期です。それ以来の活況だと思いますが、理念の無いブームはいずれ忘れ去られてしまいます。国が違っても、また年齢が違っても、教育にとって本質的なことは必ず注目されるはずです。その意味で、理念が明確でなければなりません。何よりも、実践を通して積み上げてきた「KUNOメソッド」は、具体的であるがゆえに注目され、そして支持されていくのだと思います。人材育成の難しさをいつも感じながらも、「KUNOメソッド」を結集軸として集まった多くの皆さまと協力して、新しい幼児教育のあり方を発信し続けていきたいと思います。

※「室長のコラム」次回の更新は1月5日(金)です

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