週刊こぐま通信
「室長のコラム」私立小学校入試結果報告会
第560号 2016年12月23日(金)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可
2017年度私立小学校入試がどのように行われたかをお伝えする、「入試結果報報告会」を12月18日(日)に行いました。午前・午後合わせて170名近い保護者の皆さまにお集まりいただきました。受付初日に満席になり、キャンセル待ちが40名ほど出るような状況でした。こぐま会の問題分析が多くの受験生の皆さまに評価されている結果だと思います。当日は、以下のような内容で今年の入試を分析し、お伝えしました。
- 「2017年度 入試結果報告会」
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1. 2017年度入試はどのように行われたかa. 入試日程
b. 問題傾向
c. 合否判定
d. 補欠合格者の動き2. 学力テストの傾向a. どんな領域から多くの問題が出されているか
b. 典型的な入試問題の分析(新出問題を中心に)・・・典型問題20問3. これからの入試問題を予想するa. 子どもにとって何が難しいか
b. 学習の仕方で、合否が大きくわかれる4. 行動観察及び面談の傾向と対策a. どんなことが行われたか
b. 何を評価基準にしているのか
c. 行動観察の対策法・・・型を教え込むトレーニングは学校側が一番嫌う
今年の入試を総括すると、次のようにまとめることができます。
- 全体としてペーパーの枚数が増えている
- 問題の難易度については基本問題に回帰しているが、思考力を求める良い問題が増えている
- 特に、指示をしっかり聞き作業して答えを導き出す問題が、合否の分かれ目になっている
- 出題傾向は、昨年度私がコラム「503号」で予想した通りの内容で推移している
- これまでは、話の内容理解のみ録音音声を使うことが多かったが、今年はそれ以外の問題にも録音音声を使う学校が増えてきた
- 行動観察が合否判断に大きく影響していることは今年も同じだが、自分で判断できない子ども、特に「型」を教え込まれるようなトレーニングを積んできた子どもたちは良い結果につながっていない
- 昨年度と比べると、補欠合格(繰り上がり合格候補者)の動きが極端に少ない。これは、定員をオーバーして水増し合格者を出しているとしか考えられない。暗黙の了解による、塾と学校側の信頼関係が崩れたとしか言いようがない
- 合否発表をWEB上で行ったり、辞退者を見込んだ水増し合格が行われたとすれば、小学校受験の入試事務がいよいよ大学型になったと言わざるを得ない
これまでも、小学校入試が大きな曲り角に来ていると言ってきましたが、以上述べた点を踏まえると、今後の入試を占う意味でも今年の入試をしっかり分析しておかなければなりません。世の中全体として行われようとしている教育改革が小学校にも及び、その事が入試の在り方にも大きな変化をもたらすかも知れません。今回の入試結果を踏まえ、年明け以降、学校別入試問題の分析セミナーを行います。こぐま会独自の視点で細かく分析し、来年以降の入試に備えたいと思います。こちらのほうにもぜひご参加ください。
こぐま会から受験した生徒の合格者数は、例年、本セミナー実施日より発表しています。
2017年度入試 合格者数
2017年度入試 合格者数