週刊こぐま通信
「室長のコラム」数と図形の学習をどう組み立てるか
第545号 2016/9/9(Fri)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

年中児以下の保護者の皆さまを対象とした「合格のための室長教育講演会」の第4回目は、「数と図形の学習をどのように進めていけばよいのか」をテーマに行いました。これまで行った3回の講演会では、入試の現状や出題傾向、どんな能力が求められているか等、入試を取り巻く現状を詳しくお伝えしてきましたので、今回は具体的な学習法を伝えるべく、入試問題の中心となる数と図形の学習方法について解説しました。また、数と図形は、受験だけでなく将来の算数科につながる大事な内容です。幼児期の学習はその後の基礎になりますので、見通しを持って、しっかりとした積み上げをしなくてはなりません。ペーパーだけの学習では、数概念や図形感覚は正しく身につきません。ですから具体物やカードを使った学習をふんだんに取り入れ、子ども自身に考えさせる学習を心掛けていかなければなりません。その上、数の学習は論理的な思考力が必要になる場面が多く、「考える力」を育てるには好都合の内容がたくさんあります。
- 合格のための室長教育講演会 第4回 (9月4日)
「数・図形に強くなるための学習法」 -
1. 数・図形の入試問題の紹介最近の入試における数・図形問題の解説2. 数の学習をどう組み立てるのか年間カリキュラム表を使って系統性を説明3. 図形感覚を育てるために何が必要か年間カリキュラム表を使った解説4. 3段階学習法による基礎教育の進め方(A) 体を使い(集団活動)
(B) 手を使い(個別試行錯誤)
(C) 頭を使って(ペーパートレーニング)
ペーパ―学習に入る前に行うべき基礎学習では、次のような経験が大事です。
- 数
- おはじきを使った数の操作で数の内面化を図り、暗算能力を高めておく
5の構成・7の構成・10の構成 - 話を聞いて、その中から数がどのように変化したかをキャッチする
- サイコロ遊び(7の構成)
- すごろく遊び(移動の数)
- じゃんけんゲーム(数のやりとり)
- おはじきを使った数の操作で数の内面化を図り、暗算能力を高めておく
- 図形
- 折り紙を使った遊び
- 三角パズル・四角パズルを使った図形構成
- つみ木を使った立体構成
- 秘密袋を使った触策による形の認識
- 粘土を使った立体づくり
こうした経験を、時間的なゆとりがある年少・年中児が取り組むことが、その後の発展につながります。この時期からペーパーを使った「教え込み教育」をやっても、自由な発想・柔軟な思考は育ちません。アクティブ・ラーニングに象徴されるように、これからの学習は、主体的に物事にかかわることを通して身に付けた能力が、実際の入試でも求められるはずです。最近の入試問題の変化を見れば、その点は誰が見ても明らかです。