週刊こぐま通信
「室長のコラム」第3回土曜ゼミを終えて
第530号 2016/5/20(Fri)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

5月14日(土)18時半から、お父さまのための勉強会「第3回土曜ゼミ」が行われました。今年は例年になく大勢参加され、今回も50名弱のお父さま方で満席の状態でした。1月・3月に続き、今回が第3回目となりますが、ほとんどが毎回参加されている方でした。
18時半から1時間ほど併願校対策と、これから難しくなる応用段階の学習法についてお伝えした後、最近いくつかの学校で行われた塾向け学校説明会の様子を報告しました。
塾向けの説明会では、保護者向けの説明会と違い、入試に関してかなり踏み込んだ話があり、我々も対策の在り方の参考にさせていただいています。特に、学校側が語った内容から入試で何が求められているかを分析し、どのような対策を取る必要があるかを担当者からお伝えしました。
- 第3回 「お父さまのための土曜ゼミ」
- 小学校受験を正しく理解する - -
- 第1志望校と併願校の選択について
- (1) 小学校選びの考え方
(2) 併願校選択について考えるべきこと
(3) 2016年度入試 併願実例 - 応用段階の学習法
- (1) 夏休みまでに、学習はどう進むか
(2) 夏季講座の活用法 - 塾向け説明会の報告
併願校対策については、昨年の入試日程を一覧表にして、どんな組み合わせが可能かを分析しました。その上で、昨年の実例を示し、同じ日でも受験が可能な組み合わせなどを紹介しました。しかし、そうした日程上から見える併願校の組み合わせよりも検討が必要なのは、ご家庭の考え方にあった学校をどう探すかです。最近の学校選びは、以前と大きく変わっています。特に東日本大震災後の2012年度入試からそうした傾向が見られます。それは、時代の変化に伴って学校に求めるものが変わってきている証拠でもあります。裏返せば、そうした保護者の考え方の変化を、「魅力ある学校づくり」を目指す学校側が一番知りたいところでもあるのです。40年以上にわたり受験指導に携わってきた経験から、そうしたご家庭の動きの変化も把握できます。かつてのように、一貫校の最終段階である「大学」に入れるために小学校を選ぶのではなく、大学への進学や、社会に出て活躍できる人材を育てる教育内容になっているかなどが重要視されてきているように思います。わざわざ遠くの学校に行かせる必要があるのかどうかも、震災後議論されているひとつの視点です。公立校ががんばり始め、希望する大学に行けるなら、わざわざ遠くの学校に小学校から行かせなくても、中学受験や高校受験からでも良いのではないかと考える家庭も確かに増えています。小学校受験に向けた勉強の在り方に対しても、「教え込みの教育が将来どんな意味を持つのか」等疑問を持っているご家庭も多く見られます。そうした考え方の変化が、受験者減少の原因になっていることは間違いありません。学校が変わろうとしているひとつの理由がそうしたところにあるのも事実です。これから多くの学校で始まる学校説明会に必ず出席し、学校側の考え方をしっかりつかむことをお勧めしました。また、併願校対策で大事な点はもう一つあります。それは、家庭学習の方法です。過去問対策を始めとする「学校別対策」は、すべての学校について万遍なくできるわけではありません。まず、第1志望校を中心とした対策を取るのは当然ですが、その他の学校をどうするか。ペーパー試験があるかないかも含め、他校を受験する場合、第1志望校の対策だけでは不十分です。限られた時間の中で行うためには、
- どの学校を受験するにしても、その学校の過去問にすぐに取り組むのではなく、小学校入試全体で求められる基礎学力をまずしっかり身につける
- ペーパーがあるかないかに関わらず、事物を使った学習の最後は、ペーパートレーニングを必ず行うこと
- ペーパー試験がないから問題が易しいということはない。逆にペーパーを使わないから難しいということもありうる。特に答えを導き出す過程が問われたり、答えの根拠を求められる場合もあるので、作業して答えを導きだしたり、ことばを使って説明することなど、ノンペーパー校独特の対策も十分とっておくこと