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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

入試問題は、予想した通り

第461号 2014/11/28(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 慶應義塾横浜初等部の発表も終わり、首都圏の私立小学校の入試も一段落しました。こぐま会において12月7日から始まる、「入試結果報告会」「学校別入試分析セミナー」の準備のために、今年の入試問題の分析を進めていますが、今年も予想した通りの問題が各学校で出され、学校側の問題作成の手法がよくわかりました。こうした傾向を踏まえた基本学習を積み上げていけば、現在の入試には十分対応できます。こうした現状を見るにつけ、方針を持たない「量をこなすだけのペーパー学習」の無意味さがよくわかります。

ところで、入試分析を進めていく中で判明した学力試験の傾向をまとめてみると、次のようになります。
  1. ペーパー問題は平均して7枚である
  2. 出題は、難問になりうる問題を含んだ単元であるが、問題はかなり易しくなり、基礎的問題の出題構成になっている
  3. ただ内容は基本であるが、問いかけの仕方に工夫がみられ、1回だけの指示がしっかり聞き取れないと、易しい問題でも正解できない問題構成になっている
  4. その意味で、話の内容理解も含めた「聞く力」の要素が重視されている
  5. 作業を求める問題も予想通り増えた
  6. 未測量の領域は、「シーソー」も含めた「関係推理」の問題がほとんどである
  7. 位置表象の問題は以前に比べかなり増えた。その内容は、「移動に関する問題」と「四方からの観察」が中心である
  8. 数に関する問題は以前に比べかなり減った。その中でも、「一場面を使った総合問題」が多い。また、「一対一対応」「一対多対応」の問題が中心である
  9. 数の問題が減った分、図形領域の問題が相当増えた。特に、「線対称」「重ね図形」「回転図形」といった昔からある問題ではあるが、難しい部類の問題が増えたことは、予想が的中したことになる
  10. 言語の領域は、「話の内容理解」が中心であるが、ことばの理解に関する問題では、「しりとり」がやはり定番で、多くの学校で出されている。また、「同音異義語」も予想したとおりである
  11. 多くの学校で、常識問題が増えた。理科的常識を中心に、昔話に関する問題も多い
以上簡単にまとめましたが、これは、こぐま通信 第456号「予想される入試問題」の中で私が述べた、「予想される30の難問」に全て入っている単元からの出題です。その意味で、予想は的中したと言えます。問題は、この「30の難問」を自分の力で解けるようにするために、どんな学習をどのように積み上げていくかということです。子どもの理解の現状を無視して、教え込みの方法で学習することが「入試対策」ではありません。ものごとを解決していく思考法を身につけるためには、基礎をしっかり身につけ、やや難しい応用問題も解けるようにしなくてはなりません。最近は基礎的な問題が多くなりましたが、過去によく出された難問にも挑戦させなくてはなりません。基礎ができていない段階で、応用問題の解き方を教え込んでも、すぐに忘れてしまい、結局入試本番では力が発揮できません。基礎をしっかり理解させ、自分の力で解いていけるようにするためには、やはり事物を使った試行錯誤の繰り返しがどうしても必要です。来年秋の入試に向けて受験対策をスタートさせた年中児の皆さん、今から過去問をやっても力はつかないことだけは、はっきりしています。今はしっかり基礎を固める時期です。ペーパー学習に偏った勉強にならないよう、工夫してください。

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