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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

最後の連続セミナーで伝えたこと

第359号 2012/10/12(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 都内の私立小学校の願書提出も終わり、すでに面接が始まっています。今年の出願状況については今集計中ですが、学校によっては前年度より志願者がかなり減っているようです。2007年をピークに減少傾向にあった小学校の受験者数も、歯止めがかかっていないようです。試験日程の変更や、補欠合格者の扱いに学校側が工夫を凝らし、第1志望校かどうかを見極める方法を考えているのは、こうした厳しい現実があるからです。面接日時の変更ができなくなったり、願書や面接が以前より重視されているのは、「第1志望」かどうかを見極めたいと考えている学校側の対策といえます。今年の入試は、試験日程の変更や新規開校する学校が加わって、従来の併願パターンが変化することが予想されますが、そのことと、各学校の志願者数の変化とがどのように関係しているのかいずれ分析してお伝えしたいと思っています。 さて、昨年11月から始めた、ひまわり会主催「合格カレンダー連続講座」の最終回を10月11日に行いました。入試直前の最後のセミナーでしたので、次のような内容で行いました。

合格カレンダー連続講座 第18回
「合格に向けた直前対策と入試当日のこと、合格発表・その後の学習」
1. 入試直前対策
A) 残り10日間の学習
B) 各領域点検項目
2. 入試当日のこと・合格発表後に起こる問題
A) 入試当日に起こること
B) 補欠合格の場合
C) 合格を辞退する場合
D) 二次募集を受験する場合
E) 国立をめざす場合
3. 私立小入試終了後の学習
A) 国立受験者のための講座(11月~12月)
B) 就学準備講座(1月~3月)
C) 小学校入学後の学習対策

ここにきて、学力が不安定になっている外部生の皆さんの相談にのっていてわかってきたのは、子どもたちの学力の問題は、これまで学習してきたそのやり方に大きな問題があったということです。それは、次のような点においてです。

  1. 基礎学力を身につけるべき時期に、過去問ばかりをトレーニングしていたため、基本的なものの見方がしっかり身についていない。

  2. そのため、最近学習した難しい過去問の解き方は身につけているが、それすらも自分で解き方を工夫したものでないため、答えの根拠を問われると何も説明できない。挙句の果て、「お母さんがそう言っていたから・・・」が答えになってしまう。

  3. 自ら、物事に働きかけて獲得した認識能力は忘れることはないのに、基礎学力を育成する段階から教え込まれてきたため、だいぶ以前に学習したことはすでに忘れてしまっている。

  4. 飛び石移動に象徴される、作業を通して答えを導き出す問題に対し苦手意識を持つ子が多い。

  5. 問題をパターン化して覚えてきている子は、設問の仕方が少し変わっただけで、わからなくなってしまう。

こうした問題を抱えている子に対し、入試直前の学習の仕方はどうあるべきかを考えてあげなくてはなりません。今回のセミナーでは、そうしたことも含め、最後の総点検に基本となる入試問題を当てはめ、そこで基本をもう一度確認すべきことを伝えました。最近の入試問題の中から、今年の入試でも出題の中心になると思われる問題を30枚厳選し、お渡ししました。その内容は、領域別に分けると次のようになります。

未測量シーソー・つりあい・関係推理
位置表象地図上の移動・飛び石移動・回転移動・四方からの観察・方眼上の移動
数の増減・数のやりとり・一対多対応・交換・話による場面の数の変化
図形鏡・対称図形・重ね図形・回転図形・大きさの違う三角パズル
言語一音一文字・言葉つなぎ・同音異義語・しりとり
その他魔法の箱・観覧車・変化の法則性・じゃんけんゲーム
常識断面・季節・昔話・折り紙の線の付け方・紐の結び方

おそらく今年の問題も、この中からたくさん出されるはずです。この問題を含め、入試直前2週間で行うべき学習は、
1. 基礎学力点検ボードを使った最終点検
2. この30問を含めた、新傾向の問題の確認
3. まだ間に合う、常識問題の確認
この3つの視点から、毎日の学習を組み立て、実行すべきです。

また、今回のセミナーでは、過去において入試当日に起こったさまざまなトラブルを紹介し、そうしたことがないよう注意を促しました。ただ、どんなに注意し努力しても、さまざまな事が起こるのが現実です。その際、慌てず、あきらめず最後までやり抜く姿勢を伝えました。遅刻したり、学校に行く途中で体調を崩したり、受験票を忘れたり、持ち物を忘れたり・・・さまざまなことが起こります。それでも、受験するという意思を強く持てば、道はおのずから開けるものです。自分で「だめだ」と勝手に判断しないで、学校側の判断を仰ぐことが大事です。さまざまな理由で少し遅刻しても、駆けつけてみてください。過去において、15分ほど遅刻しても受け入れてくれ、合格を頂けた学校もあるからです。試験運営に支障がない限り、理由如何によっては、学校側は子どもの立場に立って受け止めてくれるはずです。

都内の学校で面接が終了した子どももあり、その様子が伝わってきています。「子どもは大変はきはきとできたのに、父親がうまく言えなかった」「子どもから、お母さんの声が小さかったと言われてしまった」「子どもは全体としてよく答えられたのに、ある問題になった時、黙ったまま答えられなかった」・・・心配のあまり「先生こんな様子でしたが大丈夫でしょうか」と相談に見える方も大勢います。本試験前の面接のでき具合だけで、合否が決まるわけではありません。面接がうまくいかなくても、合格した例は過去にたくさんあります。何が答えられたから良い、答えられなかったから悪いではなく、学校側は全体を通して、ご家庭の考え方や雰囲気、親子の関係、学校に対するお気持ちを見るわけですから、「できた - できない」で見ているわけではありません。面接が思うようにいかなくても、今から落胆しないでください。ここでお母さまが沈み込んでしまったら、一番大事なコンディション作りに悪影響してきます。合否は、すべての試験が終わった後、さまざまな視点から評価されての結果ですから、最後まで全力を尽くしてください。きっと学校側はそうした姿勢を受け止めてくれるはずです。

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