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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

今年も大勢の合格者を送り出しました

第222号 2009/11/20(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 早稲田・慶應の発表を終え、都内の入試も一段落しました。あとは国立附属小学校の試験を残すばかりとなりました。今年の入試状況につきましては、12月6日と13日に行う「学校別入試報告会」において詳しくお伝えするつもりですので、ぜひご参加ください。

今年の入試において変化したのは次のような点です。

  1. 入試日については、11月1日が日曜日と重なったため、東洋英和をはじめとしていくつかの学校で試験日が1日ずれた
  2. 共学校において、試験の順番が男女逆になったところがある
  3. 志願段階における名目上の倍率は、試験日がずれた学校のうち2校を除き、昨年度より下がっている
  4. 実際の入試でも欠席者が目立った
  5. 入試問題は基本問題が中心であり、難問奇問はほとんどない
  6. 行動観察や面接が重視されており、学力主義ではない入試の実態がはっきりしている
  7. 合否判定は、基本的には実力主義であるが、いくつかの学校においては従来通り関係者有利に働いた
  8. 補欠合格者発表の仕方も学校によっていろいろ工夫され、一様ではなくなった

11月18日現在、こぐま会卒業生の皆さんからご連絡をいただいた合格者数は別掲の通りです。今年の合否状況をふまえ、これまで1年間かけて行ってきたテストの結果や授業中の様子等を分析し、「何が合否を分けたのか」をこれからのセミナーでお伝えしたいと思います。はっきりしていることは、数値化される学力だけで合否が決まっているのではないということです。「学力がなければ合格できないけれど、学力があっても合格できない」この現実を、さまざまな角度から検証しなくてはなりません。そうしないと、情報が一切公開されていない小学校受験で、根拠のない噂話が先行し、受験生の保護者が右往左往する結果になってしまいます。事実に基づいたデータを分析し、小学校受験の実態を明らかにする責任が私たち指導者にはあります。昨日行った「ひまわり会 合格カレンダー連続講座」では、今年の入試の中間総括として、データを示して合否の背景を分析し、これからの入試対策のあり方をお伝えしました。

ところで、こぐま会ではクラス担任制を取っていますが、今年の各クラスの合格状況を見ると、こぐま会にとって前例のない快挙がいくつもありました。

1.ばらAクラス(齋藤)男子が健闘し、1クラス慶應4名合格
2.ばらFクラス(久野)女子が健闘し、11名中9名女子難関校合格
3.ばらOクラス(清水)11月新規入学者10名中9名合格・合格率90%
4.すずらん教室(桜井)すずらん第1期生 女学館AO入試合格者・過去最高14名
5.聖心行動観察(廣瀬)受講者31名中29名女子難関校合格 合格率94%
6.指定校聖心Bクラス 聖心合格8名を含め、16名中14名難関女子校合格

これから受験される保護者の方に合格者数を示すだけでなく、「何が合格につながったのか」「なぜ学力がありながら合格できなかったのか」等を、1年間の学習記録や模擬テストの結果等を分析しながらお伝えしないと、「合格のためにどんな対策を取れば良いのか」という指針につながりません。行動観察が重視されている今の入試で合格を勝ち取るためには、教室での学習や活動だけでは解決しません。家庭での学習の仕方のみならず、生活上のさまざまな課題をひとつひとつ解決していく「家庭の力」が伴って、はじめて合格につながるのです。その意味で家庭と教室の連携が必要です。同じ考え方で受験対策をとらないと一番困るのは子どもだからです。1年間の学習方針を示し、教師と家庭との信頼関係を確立した上でひとつひとつ積み上げていく努力をしなければ、決して合格にはつながりません。

模擬テストに1回参加しただけで合格者数にカウントするような教育機関では、その信頼関係をつくるチャンスすらありません。きっと現場で指導する教師の発想ではなく、「教育」を知らない事務方の発想だろうと思います。時間をかけて行う教育の成果として「合格」があるならば、そしてまた、現場で指導に充たる教師の努力を評価するならば、偽装した「合格者」数の発表をまずやめることです。また、小学校受験を幼児期における教育の最大の動機づけにし、まともな教育をする環境を整える意味でも、「合格者数水増し合戦」はもうやめるべきです。信頼される「幼児教室」を確立するためにも、正しい合格者数の発表に関係者は努力すべきです。

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