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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

間違いにこだわること

2005/07/14(Thu)
こぐま会代表  久野 泰可

入試が近づくにつれ、模擬テストの結果が出るたびに、大勢の皆さんから相談を受けています。家庭学習の進め方についてのご相談が一番多いのですが、第一志望校の変更や併願校の組み合わせについても、たくさんのご相談があります。こぐま会でも、「第1回 合不合判定テスト」の結果が7月10日に出て、いよいよ志望校の絞り込みが始まりました。

テスト結果を受け取って、ご両親が最初に感じるのは、「どうして家でできた問題が、テストになると、できないのだろう」という疑問です。そうしたご相談が今一番多いのです。
家でできた問題ができないのは、場の雰囲気や1回の聞き取りの出来具合等が絡んでいることは確かですが、私は、家でできたということをまず疑ってみるべきだと思います。つまり、本当に理解していなくても、できてしまうことが、幼児の場合は往々にしてあるということを知っておかなければなりません。それには、いろいろな原因がありますが、パターンで覚えこんだり、教えられたとおりの方法で解けてしまうということが、特にペーパーの場合はありえるということです。ですから、余分な要素が入り込んできたり、逆から問われたりすると、もうお手上げなのです。大人は同じ問題だと思っても、子どもにとっては、条件が違うとまったく別な問題に映るということがしばしばあるのです。ですから、私がお母さん方にいつも言うことは、「間違いには必ず原因があるので、それを理解し、対策を考えてあげてください。」ということです。正解だから丸をあげ、間違えたから叱り飛ばし・・・では、家庭学習が効果的に進められるはずはありません。間違いにこだわり、その原因を探り当て、その対策を考えてあげることが、お父さんお母さんの役割なのです。お母さんが、厳しい先生役やテスター役をやってしまったのでは、家庭学習の効果は望めません。

間違いには、必ず原因があります。設問が理解できなかったのか、内容がまだ理解できていないのか、単純な聞き取りミスなのか、時間が足りなかったのか、・・・いろいろな原因があるはずです。本試験でいい点をとれればそれでいいのです。今間違いの原因を発見し、有効な対策をとれば、こんなに効果的な学習はありません。そして、同じように大事なことは、正解したからいいのではなく、どのように理解して、正解したのかも問題にしてください。本当に理解しているのか、一度疑ってみることです。ひょっとしたら、本当に理解していなくても、テストで丸をもらっているかもしれません。それでは、不安定です。どんな問われ方をしても、正解できなければ、本当にわかったことにはなりません。間違えた時だけでなく、正解した時も一度疑って、その根拠を明らかにさせることが必要です。それが、多様化した問題に柔軟に対応でき、本当の意味での基礎学力を身につける、一番いい方法だと思います。

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