週刊こぐま通信
「室長のコラム」出題頻度の高い問題
第166号 2008/09/19(Fri)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

厳しかった夏休みも終わり、子どもたちも元の生活リズムに戻ったことと思います。神奈川では面接も始まり、いよいよ入試本番です。保護者の方は願書提出の準備で忙しい毎日だと思いますが、入試本番までリズムを崩さず家庭学習を続けてください。
夏の学習の反動で、子どもたちがやや疲れ気味に見えますが、園生活が始まり友だちとの交流が始まると、また元気が戻ってきますから、心配しないでください。学習面では、難しい問題に取り組んだ結果、やや混乱を起こしている子もいますが、基本に戻った学習を繰り返せば、そうした混乱はおのずから整理されていきます。あまり神経質にならないほうが良いと思います。
さて、先日行った「第7回連続講座」では、入試直前の学習法を具体的にお伝えしました。また、これから入試までにおこる問題の解決法、試験当日に起こるさまざまなトラブルの解決法など、これまでの経験と卒業生の皆さんからのアンケートなどをもとにお伝えしました。その席で配った「入試問題出題頻度ランキングベスト20」をここで少しご紹介しましょう。過去9年間に行われた、主要10校(多くのこぐま会会員の皆さんが第1志望校にする学校)の問題を、こぐま会の日常授業の領域分けに沿って分析したものです。この結果を見ると、何に力を入れて最後のまとめをしたら良いかがはっきり分かります。また、最近特に増えた問題から、新しい傾向の問題の分析もできます。
主要10校 9年間の出題ランキングベスト20
※雙葉・聖心・東洋英和・白百合・豊明・東京女学館・田園調布雙葉・立教女学院・暁星・成蹊、以上10校の2000年度~2008年度の出題数の統計データです。
順位 | 出題内容 | 出題数 | 出題に対応するこぐまオリジナル教材 | |
ひとりでとっくんシリーズ | その他関連教材 | |||
第1位 | 話の内容理解 | 63題 | 14,15 話の内容理解1・2 | 口答問題集1・2 |
第2位 | 図形構成・分割 | 47題 | 36,96,97 図形分割1・2・3 98 図形構成 95 絵と模様の構成 | 各種パズル※1 |
第3位 | 手先の巧緻性 | 42題 | 22~24 はさみ切り基礎・応用・実践 50 ひも通し2×6見本帳 | はしのおけいこ ひも通し2×6 ひも通し4×4 (別売り)見本帳 |
第4位 | 同数発見 数の多少 | 41題 | 5 数の多い少ない 10 同数発見 63 数の複合 93 数の総合問題 | かずカード おはじきセット |
第5位 | 口頭試問 | 34題 | こどもめんせつれんしゅう | |
第6位 | 常識 | 32題 | 53,91 常識1・2、 78 昔話 | |
第7位 | 課題製作 | 31題 | 紙工作、工作ぬりえ たつどうぶつ ちぎって貼ろう | |
第8位 | 移動 | 29題 | 44 地図上の移動 45,79ゲームブック1・2 58 いうろいろな移動 86 方眼上の位置と移動 89 回転位置移動 | こぐますごろく |
第9位 | 課題画 | 28題 | 20 形を使った創造画 | 話の絵画化(CD付) |
第10位 | 一対多対応 | 27題 | 35 一対多対応、 63 数の複合 93 数の総合問題 | |
第10位 | 分類 | 27題 | 29 仲間はずれ、 84 仲間あつめ 90 私は誰でしょう | |
第12位 | 計数 | 26題 | 16,17 分類計数1・2 63 数の複合 93 数の総合問題 | |
第13位 | 数の増減 | 25題 | 46 数の増減、 63 数の複合 93 数の総合問題、 100 逆思考 | |
第14位 | 重さ比べ | 23題 | 12 シーソー、 34 関係推理 49 量の系列化 | |
第15位 | しりとり | 20題 | 48,94 しりとり1・2 | しりとりカード1・2 |
第16位 | 理科的常識 | 19題 | 54,55 理科的常識1・2 74 季節 | きせつカード |
第17位 | 一音一文字 | 18題 | 27 一音一文字 28 同頭音・同尾音 | |
第18位 | 重ね図形 | 17題 | 47 重ね図形、 51 重ね点図形 | |
第19位 | 同図形発見 | 14題 | 10 同図形発見 | |
第20位 | 図形模写 | 13題 | 19 図形模写、 66 線の模写 67 欠所補完 |
※1 さんかくパズル本体(模様づくり見本帳・形づくり見本帳)、分割さんかくパズル・ツートンパズル本体(見本帳1・2)、重ねパズル、星型パズル、つみ木パズル、こぐまパズル本体(こぐまパズル見本帳)
この結果から何が読み取れるか。少し分析してみましょう。
- 話の内容理解は、小学校入試に欠かせない最重要課題である
- 数に関する問題が、広範囲に出されている。とくに注目すべきは、たし算ひき算の基礎としての「数の増減」、かけ算わり算の基礎としての「一対多対応」である。
- 図形課題は、「図形構成・分割」が圧倒的に多い。そのほかには、重ね図形を無視できない
- 「常識問題」と「一音一文字」が増えている
- 位置表象の中では、「移動」をテーマとした問題が最近急に増えている
- 学力以外の、手先の巧緻性・課題製作・課題画もしっかり準備しておくこと
- 昔からあるパターン化された「数の多少」「計数」「同図形発見」等は、時間制限に注意し、必ず高得点すること
- 図形模写は、ひし形と立体物の模写に要注意
入試問題の7~8割は、基本問題です。入試直前になってあれもこれも難しい問題が気になって、ゆとりをなくすことがないよう、これまでの学習を信じ最後まで同じ方針を貫き通してください。難しいことばかりやることが入試対策ではありません。基本問題はしっかり得点していくこと・・・・これを忘れたら「合格」はありえません。