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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

子どもになったつもりで問題を解いてみよう

第130号 2007/12/07(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 先日、「子どもになったつもりで問題を解いてみよう」と題したセミナーを行いました。今年秋の入試に向けて最後の授業で使ったペーパーを実際に子どもになったつもりで解いてもらい、難易度を実感してもらいました。問題を解いてもらったあと、学習目標をどこにおいたらよいのか、なぜその問題が難しいのか、その問題が解けるようになるためにこれからどんな学習を積み上げていったらよいかなどを、具体的にお伝えしました。これまでも、いろいろなセミナーを行ってきましたが、問題を実際に解いてもらい、それを基にしてお話をすることは今回が初めての試みです。こうしたセミナーが必要だと感じたのには次のような理由があります。それは、これまで学習内容や学習方法などについて、できるだけ具体的にお伝えしてきたにもかかわらず、それでも実際にやるとなると、どうしたらよいのかわからない・・・という声が多く聞かれたからです。それを解決するには、実際に問題を解いてもらい、それに即して学習法をお伝えするのが一番良いのではないかと考え、今回のようなセミナーを企画しました。

今回は「秋の遠足」と題した絵本風のお話の中に、10枚のペーパーを組み込み、さまざまな領域の問題を解いていくというスタイルをとりました。「お話を聞く」ことを通して単に登場人物や順序を問うだけでなく、数の問題や分類の問題、また、地図上の移動等も質問しました。参加されたお母さま方も、だいぶ苦労していました。

この問題を来秋受験する子どもが、すぐに解けるわけでもありませんし、今すぐトレーニングしてくださいと言っているわけでもありません。なぜ難しいかを知ることによって、何を家庭学習で取り組めばよいのかをわかっていただきたいし、その難しい問題を解けるようにするために、どんなトレーニングが必要なのかを知っていただきたいのです。そうでないと、難しい問題を一日も早く解けるようになってほしいという焦りが、子どもが物事を理解していく道筋を無視した教え込みにつながってしまうからです。

学習の最終目標をどこに置くかは、受験する学校によって出題傾向がありますので、それに沿って考えるのが一番です。難しい問題をやりすぎて、かえって基本の問題で点を落とすということが、今年の試験でも見られました。基本をしっかり抑え、その上で各領域ごとにどこまで学習を深めたらよいか、その目標をしっかり持つことが必要です。また、難しいとされる問題は何が難しいのか、同じように見える問題でも、出題の仕方や設問方法によって難易度が変わるということを知っておかなくてはなりません。逆思考の問題がなぜ難しいのか、交換の問題がなぜ雙葉小学校でよく出されるのか、観点を変えて物事を考えるのがなぜ論理的思考力の育成にとって必要なのか・・・そうしたことをしっかり理解して学習目標を定めることの大切さを、今回のセミナーで具体的にお伝えできたのではないかと思います。

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