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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

実力主義だが学力主義ではない

第131号 2007/12/14(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 12月6日、新宿のサザンシアターで、「2008年度 私立小学校入試分析セミナー」を行いました。当日400名近い、保護者の方々にお集まりいただき、今年の入試の現状をさまざまな角度から報告いたしました。個人塾の先生方も大勢参加されたようです。正確な情報をぜひ教室に通う多くの受験生の皆様にお伝えください。

このセミナーは今年で8年目になりますが、正確な情報を伝えるセミナーとして定着してきたように思います。また、学習の方法についても、ペーパー主義では子どもの認識能力は育たないと繰り返し主張し続けてきた結果、最近ではどの教室でもペーパー学習の前に、事物を使った経験をさせているようです。入試対策においても「事物教育」が徹底してきたようで、これは、受験を目指す子どもたちにとっても大変良いことだと思います。受験のための教育が、受験だけに終わらないで、幼児期の基礎教育としても意味のあるものにしなくてはならないからです。

私は今年の入試の総括として、あらためて「小学校入試は、実力主義だが学力主義ではない」ということを2つの事例を紹介しながらお伝えしました。これは、ここ3~4年言い続けていることですが、合格発表を見るたびに感じることです。特に今年は、学力がありながら合格できなかったケースをいくつかの難関校で見ているからです。

初めて小学校受験を経験される方は、中学校入試や高校入試と同じように、学力さえ高めておけば合格できると信じて疑いません。しかし、今の小学校入試においては、仮にペーパーテストで100点をとっても、そのことだけでは合格できません。行動観察や絵画製作・運動テスト、また自由遊びの様子なども合否判定の判断材料になるのです。学校によっては、面接テストも重視しています。客観的な基準がなく、主観が入り込みやすいテストですから、何が良い評価なのか、何がマイナス評価なのか外部の者にはわかりません。そのため、そうしたテストにおいても「できた - できない」で判断しがちですが、いろいろ調べていくと、必ずしも「できた - できない」の判断ではないようにも感じられます。そこにペーパーテスト以外の対策の立て方に難しさがあるのです。

学力だけで判断してくれるのなら、こんなにやさしいことはないと感じることもしばしばあります。学習の積み上げによって合格をいただけるのなら、指導者としてこんなにやり易い入試対策はありません。しかし、現実の合否判定がそうでない以上、幼児期の子育ての総決算として入試をとらえ、まともな方法で、あらゆる角度から幼児期の基礎教育を徹底するしかありません。受験する学校の教育方針をよく理解し、家庭の考え方をしっかり持ち、年齢にふさわしい基礎教育を徹底することしか、合格への扉は開かれません。

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