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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

入試問題は、学校現場の今を反映する

第114号 2007/08/17(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 入試が近くなり、各学校のこれまでの入試傾向に基づいて予想問題を考え、練習しなくてはならない時期になってきました。こぐま会でも、9月から行う直前講習会では、学校ごとに予想問題を考え、トレーニングする準備を進めていますが、この予想問題をどのように考え、作成しているのか、その方法を公開しましょう。

  1. まず各学校の20年間の入試問題を領域別に分析し、出題頻度の高い問題を列挙します。そうすることによって、その領域の出やすい問題がはっきりしますが、ポイントは問いかけの仕方をよく研究することです。

  2. 各学校の領域ごとの問題が整理できたら、今度はなぜその問題が重視されているのか学校側の意図を分析します。そして、今その学校で問題になっていることを加味します。たとえば国語力に力を入れているとか、文章題に力を入れているとか・・・在校生から聞き取れば、学校側が何に力を入れているか良くわかります。

  3. 次に、ある領域の問題が常によく出されるとわかったら、他校ではその領域の問題がどんな内容で出されているか分析します。その中で基礎は何か、一番難しいものはどれかを探り、一番難しい問題と、その一歩先の問題まで予想しトレーニングします。

  4. 論理性が求められる問題のほとんどが、小学校算数の内容に関連していますので、どんな考え方が必要かを分析し、それを子どもたちの生活や遊びにおろしてトレーニングします。小学校高学年で学ぶ文章題で求められる思考法が、よく出されています。

  5. これまでまったく出されなかった問題も出る可能性がありますので、小学校入試で典型となる問題を、各領域ごとにまとめ、「出た-出ない」に関係なくトレーニングします(こぐま会では、これを基本クラスで徹底して行っています)。

  6. 学校によって問題の難易度は違います。しかし易しい問題だからといって安心はできません。なぜなら、満点主義の考え方で問題を作成しているからです。逆に難しい問題であれば平均点は当然下がりますから、一問できなかったからといって、不合格になるわけではありません。難易度をしっかり把握しておかなくてはなりませんが、予想問題は、その学校のレベルより一歩先の難しい問題をトレーニングするということが鉄則です。このことは、小学校入試に限らず、すべての入試に当てはまります。

  7. 行動観察や面接も時代によって内容や評価の観点が変わっています。時には、現場の先生方の要望を入れて、集団行動がスムーズに行くように、内容や評価を工夫する場合もあります。行動観察が重視されている背景には、人の話を聞いていられない、じっと座っていられない、勝手に教室から出て行ってしまう等、学級崩壊につながる「小一プロブレム」の問題があったことも事実です。

  8. そのように考えてくると、最近の教育をめぐる問題でいえば、次期指導要領の改訂でクローズアップされている「国語力」がどのような形で入試に反映されるかを考えておかなくてはなりません。そのひとつが会話力。もうひとつは論理的思考力ということになりますので、それに関する対策は十分とっておく必要があります。

  9. また、学校と家庭との協力関係がうまくいかず、衝突することさえあるという現実を考えると、多くの学校で、面接を重視することが考えられます。学校の教育方針を本当に理解しているのか。学校の教育方針を理解しないまま、無理な要求を突きつけてくることはないのか・・・そうした意味で、これまでになく、家庭の教育方針と学校の方針とがどのように合致するのか、といったことが願書や面接で問われてくるはずです。

 こうした点を踏まえて、お子さまも保護者の方も最後のまとめをしなくてはなりません。小学校入試で合格を勝ち取るためには、情報力が決め手になります。

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