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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

入会相談からみえてくるもの

第102号 2007/05/18(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 秋の入試まであと半年もなくなった現在でも、今年受験する方の入会相談が続いています。特に女子校合格フェアが終わった連休明けから急に増えています。相談にみえる皆さんに共通していることは、これから受験勉強を始めるのではなく、既に半年以上受験のための学習をしてきている方々だという点です。なぜこの時点で、塾や個人の先生を変えたいと思い、相談にみえるのか。理由はさまざまですが、現在の学力や今後の指導方針に不安を持っているからにほかなりません。例えば、こんな相談がありました。

  1. ペーパーテストの点はよく取れるが、事物を使ったテストで、答えの根拠を求められると説明できなく点が取れない。ペーパーだけの学習では応用する力が身につかないのではないか。
  2. 今通っている塾では、カリキュラムのようなものは全くなく、学習したペーパーは返却されるが、なぜ今その課題をやらなくてはならないのか、また、今まで学習してきたこととどうつながっているのかなどの説明がなく、全くばらばらな課題を過去問としてやっているだけで、こんな学習で合格できるのか不安に思う。
  3. 個人の先生にみてもらっているが、そこに通うほとんどの方が、集団での授業を受けないと合格できないと考え大手の塾にも通っている。
  4. 学校別の対策が何もとられておらず、今の勉強を続けていれば、女子難関校に合格できるのか不安で仕方がない。
  5. 先生が厳しく、お友だちがしかられているのを見て怖がり、行きたくないといい始めた。

 ほかにもいろいろな相談があります。私たちはこうした相談を受けたとき、できる限りこれまでの教育環境を急に変えないで、家庭学習で補う方法がないのかどうかを話し合います。なぜなら、こぐま会の授業も既にステップ4の基礎段階を終え、これまでの学習を土台として5月下旬から難しい応用学習に入るからです。「合格」という頂上を目指す道はいろいろあって良いと思います。これまで登り続けてきた道を最後まで信頼して登り続けることが、子どもにとって一番良いからです。しかし、お母さまが現在の受験対策のあり方に不安を持ったり、先生との相性が合わず、子どもが通うのを拒否するようであるのなら、その対策を早急にとらないといけないと思います。

 毎年同じような相談を受け、その結果私たちが、他の教育機関でどんな受験対策をとっているのかを知ることになるのですが、受験対策だからといって、子どもの発達や指導の原則を無視して教育できるわけではありません。何の系統性も考えず、過去問をペーパーだけでやるような方法では、基礎学力は育たないし、工夫された現在の入試問題に対処できるはずはありません。ましてや、今後求められるであろう「論理的思考力」など育成できるはずはありません。カリキュラムもなく市販のペーパーをコピーして授業しているようなやり方は、本当の受験対策とはいえません。

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