週刊こぐま通信
「テスト通信」「総合力判定テスト基礎1」結果分析
2025年12月17日(水)
こぐま会テストセンター
11月30日(日)に新年長児対象「総合力判定テスト 基礎1」を実施しました。このテストは、1年を通して合格に必要な総合力を継続的に点検するテスト(年5回)で、内容も基礎から応用へと系統化されています。今回の実施項目は、「個別テスト」「ペーパー」「行動観察」です。
こぐま会テストセンター
今回は、その中から「個別テスト」「行動観察」に絞って、テストの正解率や問題に取り組む子どもの様子、今後の学習方法についてお伝えしたいと思います。
テストの平均点は100点満点中約67.8点という結果になり、個別テストの正解率をみると、現段階での子どもの苦手な領域がはっきりとわかりました。
- 個別テスト
分類:72%
保存:47%
位置表象:65%
図形:85%
言語:53%
口頭試問:90%
- ペーパー:57%
- 行動観察:79%
保存課題からは「水量の保存」を出題しました。間違いのほとんどは、同じ形の容器から違う形の容器に移し替えた時、「水位が高い=量が多い」と判断してしまうパターンでした。容器の大きさや形を考えず、量の多少を水面の高さだけで判断しているのです。変化したところを説明できるのはよいことですが、変化しないところについては吟味せず答えてしまった、あるいは混乱してしまったようです。「量は移し替えても変化しない」と分かっていても、様子を表す言葉の解釈が曖昧だと、判断も理由説明も曖昧になってしまいます。「(量が)多い-少ない」「(水位が)高い-低い」という言葉の意味を使い分けできないのは、「どちらが多いか」が「量の問題である」ということもしっかり意識できていない可能性があります。保存の課題に関しては、実際に移し替えの経験をしてみることが大切です。同じ量の水を、太い容器に移し替えた場合と細い容器に移し替えた場合とでは、ゆっくり水位が上がる様子やあっという間に溢れそうになる様子を実感できます。その経験を通して、なぜそのようになるのかということが分かってくると、本当の意味で「保存」が理解できると思います。「言語」の問題は、「いくつの音でできているか」「どこが何の音か」を判断するだけの問題でしたが、まだまだ十分とは言えない理解度でした。今回は2つの指示を同時に出したので、どちらかの指示だけで回答してしまう間違いが目立ちました。普段から言葉を意識した経験が少なければ、スムーズに取り組めなかったのではないかと思います。言葉を一つずつ言いながらおはじきを出してみたり、自分の名前がいくつの音の数でできているか、反対から言ったらどのようになるかなど、馴染みのある言葉で意識させてみるのもよいでしょう。言葉そのものに関する問題は、しりとり、同音異義語、言葉づくりなどもありますが、言葉を正しく知っていることも重要です。「ライオン」を「ライヨン」、「コアラ」を「コワラ」のように勘違いしている場合もあります。日々使っている言葉も、正しく理解しているか確認してみてください。
「行動観察」では、自由遊びを行いました。遊び道具をいくつか用意し、数人で遊べるもの、順番を待たなくては遊べないものを用意して、自由に活動してもらいました。今回は、「お友だちに関わる」ところがいちばん達成率が低くなりました。ただし、ひとり遊びでも表情を見ていると、明らかに本人は十分楽しんでいることが多かった印象です。遊ぶからには、まずは集中して「楽しむこと」がこの時期は最も重要です。これからいろいろな活動を通して経験を積み、少しずつ子ども自身の中で他人の存在に気付き始め、それと同時に1人で遊ぶことよりも、お友だちと会話を交わしたり、やりとりしながら何か活動することの楽しさに気づき、自らお友だちに関わっていけるようにもなるでしょう。
現段階でご両親がやるべきことは、「お友だちと仲良く関わりなさい」というアドバイスではなく、幼稚園や保育園以外の場所での集団活動の機会をできるだけ多く設けていただくことだと思います。
このように総合力判定テストでは、実力点検をするとともに「どこで間違えたのか」を的確につかむことができます。苦手分野を把握することで課題が見え、学習も進めやすくなります。
さて、次回の総合力判定テストは2026年1月25日(日)に実施されます。試験範囲に関しては、毎回事前に要項でお知らせするとともに、テスト準備のための問題集もSHOPこぐまにて販売しております。ご興味のある方はぜひご覧ください。また現在、こちらの総合力判定テストを年間通して受験できる「テスト会員」の募集も行っています。さまざまな特典もございますので、詳しくはホームページよりご確認ください。