ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「今何を学習すべきか」

数 応用32 置き換え・交換・消去7

2009/11/13(Fri)
 前週は、幼小一貫論理育成問題集「置き換え・交換・消去」の中から、「数の多少に関する消去」について見ていきました。今週は「シーソーを使った消去」の問題です。この問題集の中に次のような問題があります。

  • 上の部屋をみてください。カボチャ1個はニンジン1本よりも重いです。でも、ニンジンが2本になると、カボチャ1個よりも重くなります。
  • 下のそれぞれの部屋のように、シーソーの上にカボチャやニンジンをのせるとシーソーの傾きはどのようになるでしょうか。下がると思う方にをつけてください。
解答
上段 左から 左、左、右に、 下段 左から 左、右、左に

消去の考え方は、前回のような数に関するものについては比較的考えやすいと思いますが、このようなシーソーを使ったものになるとかなり難しくなってきます。それは、子どもにとっては「重さ」についての概念が抽象的で難しいからです。前回のような数の多少であれば、両方の部屋に共通しているものを消去して残ったものを見れば、「どちらが多い(少ない)」かがすぐにわかります。しかし、シーソーの重さの関係性は数のようにはっきりしているわけではなく、あくまでも約束事が前提ですから、消去した後でもう一度最初のカボチャ1個とニンジン1本、カボチャ1個とニンジン2本の関係に立ち戻って確認していかなければならないのです。

では、どのように考えたらよいか見ていきましょう。上段左の問題は、カボチャ1個とニンジン1本のセットが2組あると考えるとよいでしょう。1組でもカボチャ1個はニンジン1本より重いのですから、それが2組になればよりカボチャの方が重くなると考えられます。それ以下の問題については、シーソーの右側と左側に共通しているものを取り除いて(消去して)、残ったものどうしで判断します。上段中央の問題であれば、両方からニンジン1本ずつを取り去ります。すると、左はカボチャ1個、右はニンジン1本が残ります。これで上の条件からカボチャ1個の方が重いことがわかり、左が下がります。同様に、上段右の問題も両方に共通しているニンジン1本を取り去ると、左はカボチャ1個、右はニンジン2本が残り、右が下がることがわかります。以下の問題も同じように考えてどちらが下がるか判断していきます。

このように考えると比較的やさしい問題のように思われます。ところが、この「両方から同じものをとっても重さの関係は変わらない」という消去の最も原則的なことを、子どもが本当にわかっているかどうかがポイントです。「同じものは消せばよい」と機械的に教えてもこの問題に関してはできると思いますが、問題の角度が変わったり、同じ意図の問題でも別の出題の仕方をしてしまうとできなくなってしまうでしょう。本質的に消去の意味がわかっていないといけないのです。

消去の意味は、例題のようにシーソーがどちらかに傾いた状態よりは、つりあっている状態で考えていく方がわかりやすいでしょう。例えば、シーソー左側に大人1人が乗って、右側に子ども2人が乗ってつりあっているとします。そこに左側と右側それぞれに子どもが1人ずつ乗ったとしても、やはりつりあいます。また、左に大人1人と子ども1人、右に子ども3人が乗ってつりあっている場合、両方からこどもが1人ずつ降りてもつりあいます。このように抽象的な重さの考え方をできるだけ具体的な場面に置き換えて考えていくと、子どもにとってはわかりやすくなると思います。

PAGE TOP