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週刊こぐま通信
「今何を学習すべきか」

数 基礎18 数の多い少ない3 違いはいくつ?

2008/11/07(Fri)
 「ひとりでとっくん5 数の多い - 少ない」 の中に次のような問題があります。

いくつ違いますか。違う数だけ下のお部屋にをつけてください。 解答
上段 左から1個、4個  下段 左から3個、2個

 今回は、数の多少の中でも難しい「違いはいくつですか?」という聞き方について考えていきたいと思います。前回取り上げた「どちらが多い(少ない)ですか」または「どちらがいくつ多い(少ない)ですか」という聞き方は理解できても、「違いはいくつですか」と聞かれると、何を聞かれているかわからずできなくなってしまう子が多くいます。どうしてこの聞き方が難しいのでしょうか。

下の図のように「リンゴ8個とミカン5個」を比べたとき、「どちらがいくつ多いですか?」と聞かれれば、「リンゴが3個多い」という答えは比較的簡単に出すことができます。多い方を考えるときは、下のように一対一対応させて並べたときに、対応して余った3個のリンゴを見ればわかります。

ところが、反対に「どちらがいくつ少ないですか」と聞かれたときは、「ミカンが3個少ない」という答えはスムーズには出ません。それは、ないものをイメージすることが難しいからです。「ミカンが3個少ない」と言う場合、ここにはないミカンをイメージして言わなくてはなりません。子どもは、「どちらがいくつ少ないですか」という質問に対して、全体を見れば少ない方はミカンであることが判ります。しかし、「いくつ少ないですか」と数を聞かれていますから、少ないものだけでなく数も言わなくてはならないと思い、ミカンを見るとそこに5個あるので、「ミカンが5個少ない」とそこに見えている少ない方のミカンの数すべてを言ってしまう誤答がよくあるのです。

こうした間違えた子に対して、「どちらがいくつ足りないですか」という質問をすると、「ミカンが3個足りない」と比較的スムーズに答えることができます。また、「どちらがいくつ多いですか」と言う質問に対して、「リンゴが多い」と多い方だけを言うので、「どちらがいくつ多いか言ってください」ともう一度質問すると、今度は「3個多い」と数だけを言ってしまい、「リンゴが3個多い」と続けて言えない子もいます。しかし、「どちらがいくつ余りますか」と質問を変えると、「リンゴか3個余ります」と物と数を続けて言えることが良くあります。これらのことから、「多い - 少ない」という言葉よりも「余る - 足りない」という言葉の方が、子どもたちの生活にとって身近なものであることを示しているといえるのではないでしょうか。

このように「多い - 少ない」という言葉と「余る - 足りない」という言葉の理解についても差があるのですから、さらに生活に身近ではない「違い」という言葉を理解していくことは、子どもたちにとってもっと難しいことだと思います。

「違い」とは、2つのものの差です。「数」を比べるときには、2種類の対象をかなり意識していかなくてはいけません。一般的に「違い」といえば数ではなくて量的なものをイメージすることが多いのではないでしょうか。たとえば、2つのコップに入ったジュースの量を比べるとき、同じコップに入れて並べ、水面の高さを見て、「どちらが多いか、少ないか」を判断します。しかし、それが数の違いを考えるときは、上のように2つのものを並べて比べたり、数えたりしなくてはなりません。ただ見ただけで判断するのではなく、そのうえに何らかの方法を加えなくてはならないため、数の違いを理解することが難しいのではないでしょうか。

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