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週刊こぐま通信
「今何を学習すべきか」

その5 位置表象の基礎 左右関係

2005/06/16(Thu)
子どもたちは、生まれてから身の回りのいろいろな位置関係にかかわって生活をしています。その意味では、「位置表象」はきわめて生活に密着した領域なのです。位置関係には、主に次の3つの関係性があります。

(1)上下関係
(2)前後関係
(3)左右関係

 基本的な関係性はこれですが、さらに、(1)の上下関係と(3)の左右関係が合わさったものが、上下左右関係といって、「方眼の理解」になります。また、(2)の前後関係と(3)の左右関係が総合されたものが前後左右関係となり、「四方からの観察」といわれる課題です。

 これらの関係性の理解については、(1)の上下関係は、空間的な広がりがあり理解しやすいと思います。また、(2)の前後関係は人間が前と後ろがわかるようになっていますので、これもまたわかりやすいと思います。ところが、(3)の左右関係は、人間が左右対称になっているため、どちらが右か左かはっきりとつかみにくいところがあります。また、自分と相手が向かい合ったときには、自分の右手側には、相手の左手があるように、体の向きにより相対的に変わっていくものなので、子どもにとっては非常に捉えにくいものです。しかし、それであるからこそ逆に自分中心ではなく、相手の立場に立って物を考えられるかどうかを見るという、教育的な課題になりうるともいえます。

 位置に関連する入試問題の中でも、難しいとされている問題のほとんどすべてにこの左右関係が絡んでいます。例えば、いろいろな格好をしていて手を挙げている子どもの中で、右手を挙げている子どもを探す問題、地図上を指示された方向に動く「地図上の移動」の問題など例を挙げたらきりがありません。

 こうした左右関係を考えていくポイントは一つしかありません。それは、自分自身の右手左手がどちらかということだけなのです。右手を挙げている子をさがす問題は、同じ方向を向いて同じ手を挙げてそれがどちらの手かを考えます。交差点を右左折する場合も、その向きに向いて、自分の右手、左手で判断します。このように、位置を考えていく上では、右手・左手の問題は避けては通れないものなのです。年長児の今の時期でも、この右手左手の認識があいまいなお子さんもいます。ここで、もう一度しっかりできているかどうか確認して下さい。さらに、自分自身の右手左手だけでなく、お母さんやお家の人の右手左手を考えさせて下さい。そのときには、必ず同じ格好をさせて、そこで判断させて下さい。はじめは面倒でも、こうして体を使って練習することが、頭の中で考える思考の内面化につながっていくのです。人の右手、左手を考えられたら、次は、以下のペーパーを使って練習をして下さい。

 こぐまオリジナル教材の中では、「ひとりでとっくん30 みぎ・ひだり」 があります。これは、右手左手だけでなく、足や履物についての左右関係、「右から~番目」という左右の系列化なども扱っています。実際の人の右手左手の課題とペーパーによる右手左手では、ペーパーの方がイメージ化できにくい面がありますがしっかり練習して下さい。

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