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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

位置表象:位置の記憶(暁星小学校)

第63号 2007/04/13(Fri)
齋藤 洋
位置表象:位置の記憶(暁星小学校)
※公園の中に人がたくさんいます。
  この中で、男の子のいる場所を全部覚えてください。(約30秒)

※一枚めくってください。
  • 男の子がいた場所の印にをつけてください。

 一場面の絵を使った、位置の記憶の問題です。
 公園にいろいろな遊具があって、そこに10人以上の人物がいたようです。あらかじめ「この中で、男の子のいる場所を全部覚えてください」と限定しているので、まだ対応はしやすかったと思います。もし、「この絵をよく見て覚えてください」というような問題になるととても難しくなります。そして、そのような場合もあるので要注意です。

 男の子の人数は、5人だったようです。その他に女の子や大人、犬などの動物もいたようです。指定された「男の子」と「その男の子のいる場所」を、いかに正確に確認できたかがポイントになります。
 約30秒たって1枚めくると、次のページにも同じ公園の絵がありますが、人物や動物は全く描かれていません。その代わり、人物や動物がいた場所には小さいがあります。そのの中で、男の子がいた場所だけにをつけるのです。

 生活の中の場面を使った位置の記憶の問題は、今後増えてくると思われます。位置についての記憶は、記憶の問題の中で出題率の高いものでした。しかし過去問を見てみると、次のようなタイプがほとんどです。

イ) 3~5枚の色板カードの並び方(上下・左右)
ロ) 方眼上の印や具体物の記憶(2×2~4×4方眼)
ハ) 一列に並んだ、3~5匹の動物の位置関係(上下・前後)

 これらはどれも、単純な視覚的記憶の課題です。しかし最近は、どれも位置の聞き取りの課題として出題され始めています。特に ハ) については、「縦長の動物マンションに住んでいる、何匹かの動物のお部屋」、「乗り物に乗った動物の座席」などについてのそれぞれの位置の聞き取りなどが、よく見られるようになりました。この対策としては、まずは位置を言葉で表現する力を身につけることが必要です。位置表現に限らず、正確な聞き取りは、正確に表現できる力があって初めて可能になります。

 今回の暁星の問題は、聞き取りの問題ではなく、単純な視覚的記憶の問題です。しかし視覚的な記憶力だけで対応できるのでしょうか?
 場面を漠然と眺めるだけでは、それぞれの位置を正確に記憶することは難しいでしょう。まずは、場面の端から順番に覚えていくのがよいと思います。方眼上の記憶の場合と同じです。
 そして覚える際、人や動物がいる場所とその動作を、心の中で言葉にしていくことができた子どもは、スムーズに記憶できたはずです。例えば、「(男の子が)すべり台のはしごの上にいる」「(男の子が)ブランコの前を、犬を連れて散歩している」というようにです。今回は、覚えなければならないものが男の子だけですから、動作の表現だけでも対応できるかもしれません。しかし、もし覚えるものが指定されていない場合は、「おじいさんがベンチに座っている」というように主語も必要になります。

 学校側は、小学校に入学してくる子どもたちに、さまざまなことをしっかり言葉にできる力を求めています。この記憶課題でも、その力を求めていると感じます。家庭で学習する際では、初めのうちは声に出してやってみるとよいでしょう。

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