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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

その他:関係推理(立教小学校)

第61号 2007/03/09(Fri)
齋藤 洋
その他:関係推理(立教小学校)
◎つみ木ジャンケン
(イ)後出しジャンケン
円柱はグー、三角柱はチョキ、立方体はパーのお約束で、先生が出したジャンケンの手に勝つつみ木を、「一、二、三、四、ポーン」の合図で上に上げる。これを何度か繰り返す。

(ロ)ペーパーを使って
枠の中に、イヌ、ネコ、クマそれぞれの絵が描いてある。先生が「イヌはグーを出しました(例)」と言ったら、それに勝つようにつみ木(立方体)を下の枠の中に置く。

 (イ)では、まず問題の意味を理解できるように、積み木を使ったジャンケンをしています。「後出しジャンケン」という面白い方法です。その流れは次のような感じです。

  • 先生が「ジャンケンポン」で、ジャンケンの手を出す
     ※先生はすぐに「一、二、三、四、ポーン」を言い始める
  • その間に先生の手に勝つ手を考える
  • 勝つ手の形に対応する積み木を取り用意する
  • 「・・・ポーン」の合図で手に取った積み木を上に挙げる

 これは(ロ)に向けた練習の意味もあるようです。1回ごとの結果は残らず、楽しそうな方法ですので、子どもたちの気持ちの中には、テストであるという緊張感はなかったと思われます。しかし、活動に積極的に参加しているかどうか行動観察の観点もありそうです。興味があるのか無いのか分からないような、消極的な態度は良くありません。
 一昨年度までの立教ならばここまででおしまいです。しかし今回はさらに続きます。

 (ロ)では、ペーパーに描かれた絵を使用します。ここで求められているのは、次の点です。

  • それぞれの動物がジャンケンの何を出したかを正確に聞き取ること
  • 練習で行ったことをしっかり理解していること

 答えが合っているかどうかが、解答用紙の上に結果として残ります。つまりテストであることが明らかなのです。真剣に取り組まなければなりません。
 試験では、一度に3匹の動物の手を言うのではなく、1問ずつ行ったようです。それぞれに時間制限があったので、すばやい判断も求められています。
 またジャンケンの勝ち負けだけについての判断ならば、ジャンケンの何を出したら勝つか、単純に言葉で答えさせても良い問題です。それを積木に置き換えているのは、ジャンケンの手と積み木を対応させたイ)の方法についての記憶を問題にしているからです。

 ここ数年の立教小学校の入試では、ペーパーテストは行われませんでした。遊び中心で学力試験らしいものがなかったのです。この問題もペーパーテストとは言えませんが、明らかに学力試験の要素があります。一般的なペーパーテストのように筆記用具を使っているわけではありませんが、解答方法の聞き取りについて求めていることも確かです。

 このように個別テスト中心の学校でも、ペーパーテストに近い方法を採る場合があります。田園調布雙葉は、数年前からペーパーテストも行うようになりました。学習院・青山もたまにペーパーテストに近いものを出しています。これは多くの受験者の中で、一人一人の子どもを、より客観的にチェックしたいという学校側の考えの表れでしょう。どの学校も、学力の高い子どもを望んでいるのです。

 個別テスト中心の学校の受験を考えている場合、その対策に迷われる方が多いようですが、子どもの知識を整理するためにも、また取り組み方を練習するためにも、ペーパー学習は欠かせません。「ひとりでとっくんシリーズ」等のペーパー問題集に、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 その取り組み方も、筆記用具を使用しないでやる方法と、しっかり筆記用具を使って取り組む方法の、両方で挑戦してみることをお勧めします。いずれの場合も、必ずその解答の理由を説明させてください。おそらく筆記用具を使った方が、説明はしやすいはずです。つまり解答方法をしっかり身につけるのに、より効果的なのです。

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