ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「学習相談Q&A」

【質問52】

2007年8月17日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

 一場面の絵を見て、いろいろな数の質問に答えていく数の総合問題において、最初の質問で作業した線や丸が次の問題を作業する際に邪魔になる場合がよくあります。このような場合、どうしたら良いのか教えてください。

 雙葉小学校の問題を見ると良くわかりますが、一場面の絵を使った数の総合問題では、質問が3つから4つぐらい課せられます。たとえば、2002年度の問題は次のようなものでした。

大きいイルカ6匹と小さいイルカ10匹の絵が描かれている

(質問)
  1. 大きいイルカと小さいイルカの数の違いは何匹ですか 丸を描いてください
  2. 小さいイルカを2匹ずつ組にすると何組できますか 丸を描いてください
  3. 大きいイルカ1匹と小さいイルカ3匹の組み合わせを作ろうと思います。小さいイルカは何匹足りないですか
  4. 小さいイルカを半分、大きいイルカを半分、海に戻すと残りは何匹ですか

 この問題は、総合問題の典型ですが、質問の内容は大体、数の多少に関する問題や数の増減に関する問題、一対多対応の応用問題がほとんどです。時には話によって場面を変えてしまい、そこで質問する場合もあります。

 数の多少の問題は、一対一の問題ですから、線結びが有効であるし、一対多対応の場合は、丸でくくったりする方法が有効です。しかしすべての問題でこうした作業を行うと、最後のころには線や丸が込み入ってしまい、かえってわからなくなってしまうこともあります。こうした場合の対策を家庭でもいろいろ工夫し、練習されていると思いますが、入試本番の時期にはすべての問題をこうした作業をやらなくても、暗算や指で線を引いて結んだり、くくったりすることによって解決できる場合が少なくありません。ですから、今の時期の解き方と入試本番の時期での解き方には違いがあって当然です。暗算や、指での作業で解決させるためには、学習当初のていねいなやり方をあまり徹底しすぎないでおくことも必要です。わざわざそんなていねいに線を引かなくても解けるのに・・・と思う問題でも線を引かなければ納得できない子も例年大勢いますが、それは基本的な解き方を徹底しすぎた結果起こることです。ひとつの方法をあまりにも徹底しすぎると応用が利かないということも出てきますから要注意です。つまり、ひとつの問題を解く方法を理解度に応じて変えていくという柔軟さが必要です。線を引かなくてもかぞえればできる時期になったら、わざわざ線を引かなくてもいいんだということを教えておかなくてはいけません。このことは数以外のどんな問題においても言えることで、いろいろな解き方があるということを理解度に応じて伝え、解く方法をひとつに絶対化しないで、相対化しておくことです。ただどんな場合でも通用する基本は身につけなくていけませんから、線を引いたり、くくったりする方法はある時期徹底してトレーニングすべきです。

 いくつかある質問の最後の問題が一番難しいことは、大人では大体予想できますが、問題に取り組んでいる子どもにとっては今問いかけられている問題を解くのが精一杯ですから、最後の問題だけは線を引いてやりなさいといっても通用しません。ですから、暗算でやったり、指作業でできる問題はそのようにしてやり、難しい問題は筆記用具を使って線を引いたり丸を書いたりする・・・ということを常に意識した練習をするのが良いと思います。あまりにもていねいに作業しすぎて、時間切れ・・・という場面もたくさん見てきましたので、何もかもていねいに作業するというのは、ある程度卒業しておかなくてはなりません。

PAGE TOP