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週刊こぐま通信
「学習相談Q&A」

【質問53】

2007年8月23日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

 新指導要領の改訂で、国語の力が重視されるようですが、入試問題への影響がどのような形であると考えておけば良いのでしょうか。

 入試問題の中には、将来の国語科につながる内容として、大きく3つの課題があります。ひとつは、聞く力を問う「話の内容理解」であり、2つ目は話す力をみる「お話づくり」、3つ目は、日本語を理解する「言葉の学習」です。この3本柱は、昔からあるもので、特に最近の傾向ではありません。しかし、一つ一つの内容を見ていくと、昔と今では大きな変化があります。その背景には、今の子どもたちに欠けているものや、学力向上のためにぜひ身につけてほしいものを問う学校側の姿勢があるように思います。どのような変化が具体的にあるのか見てみましょう。

 「話の内容理解」では、一定の長さの話を聞かせた後いろいろな質問をするのですが、その質問の内容も昔は大体決まっていました。登場人物・順序・数・登場人物の行為の4つが代表的な質問内容でしたが、今は違います。もちろん、昔のような質問もありますが、その上に、今までは他の領域で出されていた内容が話の内容理解の質問のひとつになってでてきています。たとえば、「関係推理」であったり、「地図上の移動」であったり、「私は誰でしょう(分類)」であったり、・・・あらゆる領域が入り込み始めたということです。時には、難しい数の操作をさせるような問題も出始めています。人の話を聞く、指示をしっかり聞き取るということを徹底し、話の内容理解をさせながら実はそれが数の問題であったということも少なくありません。このように、質問事項が多岐にわたっているということが、最近の特徴です。また、市販されている絵本をそのまま使ったり、少し内容を変えて使ったりするように、絵本を1冊読み聞かせていろいろな質問をするという学校も増えてきました。

 「お話づくり」は、昔から4枚の絵カードを並べて話をつくるという方法が一般的でしたが、最近の傾向としては、使う絵カードの数が減ってきて、1枚の絵を使ったお話づくりがよく出されます。また、人間の表情の変化を読み取ってお話をつくるという課題も出始めています。なぜ1枚の絵を使ったお話づくりが増えてきたかといえば、1枚の絵を見てその前後関係をイメージし関係づける能力がとても大事だと考えているからでしょう。時間的な経過の中で、ある場面を前後の関係づけをしながら捉えることができるかどうかは、物事を筋道立てて考えていく力の育成と関係がありそうです。

 言葉の学習に関しては、最近名詞中心の出題から、動きを表す言葉や様子を表す言葉の理解に関する出題が増えています。特に、動詞の理解に関する問題が増えているのは、作文教育と関係がありそうです。一音一文字や同頭音・同尾音・しりとりといった名詞中心の問題もまだまだ多く出されていますが、今後は会話力を高めるための豊かな表現という視点で、動詞・形容詞・副詞といったものに関する出題が増えていくと予想しています。

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