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週刊こぐま通信
「子どもはどこでつまずくか」(20)

言葉による三者関係の推理は、問題の出し方で難易度が変わる

2009年4月10日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

【質問20】
 お話を聞いて三者の関係を考える問題はよく出来る場合と、出来ない場合がはっきりしています。こうした問題の難易度はどのようにして決まるのでしょうか。また、どのような練習が有効でしょうか。

シーソーによる重さ比べは三者関係の推理の代表的な問題ですが、これ以外にも関係推理の問題はたくさんあります。じゃんけんの勝ち負けやかけっこや自動車レースの勝ち負けだけでなく、パーティーで食べたご馳走の量や、家から学校までの距離の比較などさまざまです。シーソーと違うのは、場面が提示されるのではなくお話だけで関係が示されるという点です。たとえば、実際の入試でも次のような問題が出されています。

  1. 次郎君・花子さん・さなえさんが背比べをしました。花子さんは次郎君より低く、早苗さんより高かったです。では、一番背の低いのは誰ですか。
  2. 豚さんのお家は、ウサギさんのお家より大きく、ネコさんのお家は豚さんのお家より大きいです。お家の大きい順に動物のカードを並べてください。

他にもたくさんありますが、以上のような形でお話しされ、求められる三者の関係を考えます。1回のお話をしっかり聞かなくてはなりませんが、最近では、話の内容理解の中にこのような話が入り込んでくる場合が少なくありません。ですから聞き取る力が相当求められている問題です。さて、こうした問題の難易度を決めるのは三者の関係がどう説明されるのかということと、そこで出される設問の内容がどのような組み合わせであるかどうかという点です。詳しく説明しましょう。

上記2の問題のように大きさを比べるとします。3つの物の大きさを仮にA<B<Cとしましょう。この状況を説明するには、次のようにいくつか方法があります。

 (1) BはAより大きい。またCはBより大きい
 (2) BはCより小さい。またAはBより小さい
 (3) BはAより大きいが、Cよりは小さい

これに対し、質問事項は

 (A) 一番大きいものはどれか
 (B) 一番小さいものはどれか
 (C) 2番目に大きいものはどれか
 (D) 大きい順に並べる
 (E) 小さい順に並べる

などが考えられます。

難易度を決めるのは、この状況の説明の仕方と質問事項の組み合わせです。
たとえば(1)と(D)の組み合わせであれば、より大きい、より大きいと説明し大きい順を聞くわけですから比較的理解しやすいのに、(1)と(E)の組み合わせになると、より大きい、より大きいと説明しながら小さい順を聞いているわけですから、ちょっと整理しないと答えは出てきません。ですからこちらの方が難易度は高くなります。

このように言葉による三者関係の理解は、状況説明と質問内容の組み合わせで難易度が決まるということを踏まえた上で、易しいものから順に取り組んでいくのが良いと思います。

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