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週刊こぐま通信
「子どもはどこでつまずくか」(11)

立方体の模写は、相当難しい課題です

2009年1月30日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

【質問11】
 模写の課題をいろいろ練習しています。線の模写やひし形を含めた基本図形の模写はだいたい出来るのですが、立方体を中心とした「立体物」の模写が思うように上手にできません。どのように指導したら良いのでしょうか。

 模写の課題は、図形領域の大事な課題のひとつとして私たちも重視していますが、出題する学校側は、図形的観点だけでなく、将来の文字指導につながる運筆の課題としても考えています。「線の模写」などがまさしくその観点に合った問題だと思います。図形模写に関しては、知能テストに「ひし形」の模写があるため、以前はひし形を中心に描かせる課題がよく出されていました。しかし、年長の秋にはほとんどの子が練習してきて出来てしまうため、最近では「立体物」を模写させる学校が増えてきました。以前から「立方体」を模写させる学校はあったのですが、特に最近増えてきたように思います。


4月に年長になる子どもたちに、上の左のような立方体を模写させる課題を与えてもほとんどの子どもが描けません。正面の真四角は描けるとしても、上面と右の面がうまく描けないのです。一番典型的なものは、右のイのように3つの四角が合わさった形になってしまうことです。これから練習して少したつと上手に描ける子が出てきますが、そうした子にこのお手本が何に見えるか尋ねると「箱」とか「サイコロ」と答えます。3つの面は描けても、斜めの線が描けない子に何に見えるかと尋ねると「四角」というのです。つまりお手本をどう見るか、何をイメージできるか、何に見立てるかが、模写能力に相当影響しているように思います。一番難しいのは、上面と右の面の斜めの線が描けるかどうかだと思います。立方体に限らず立体物を模写する場合、次の点に注意して練習してください。

1. 見本が何に見えるか、見立てをする
2. 描く順序を考え、それを意識して描く
3. 斜めの線をしっかり描く

最近ある学校で、袋の中に入っている立体物を触索しただけで描かせる問題が出されたことがあります。これなどは立体物の模写をもうひとつ発展させた難しい問題ですので、そこまでできるようにしたいものです。

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