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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

基礎学力をしっかり身につける

第89号 2007/01/19(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 こぐま会のばらクラスは、1月から「ステップ2」に入り、すでに、「ステップ1」の点検テストも終了しました。ペーパー学習も少しずつ増やしながら、領域ごとに一歩一歩学習を深めてきています。7つあるステップのうち、「ステップ4」までが基礎段階の学習で、それ以降「応用学習」「実践トレーニング」と続きます。基礎学習は5月中旬までに終了し、その後応用学習に入ります。基礎学習が終了しますと、入試に絡む問題の8割ぐらいは学習し終えることになります。そして、応用学習の終わる夏休みまでに、入試で求められるすべての課題を学習し、夏休みとそれに続く直前2ヶ月間の実践練習を経て入試を迎えることになります。

 そうした、入試までの学習計画を前提に、今の時期は基礎学力の育成に力を入れるべきだと考え、具体物やカードを使った事物教育に力を入れています。毎週1領域ごとに課題を設定し、次の週には違う領域の学習を行うといった具合に、1週間ごとの課題を明らかにし、ペースを作りながら進めてきています。次の週の新しい単元が始まるまでの1週間のうちに、学習したことを家庭で反復練習し、身につけなくてはなりませんから、子どもたちにとっても相当大変な課題になっているはずです。しかし、年間の決められた授業時間数で「合格」を目指さなくてはなりませんから、子どもたちにもがんばってもらわなくてはなりません。基礎学力は日常授業で身につけ、その学習進度に合わせて作られた学校別講習会のカリキュラムで、学校ごとの難しい課題(応用問題)をこなす・・・というやり方で、授業を進めています。

 先日、書店会員のセミナーがあり、セミナー終了後、個別の教育相談に応じました。そこで、ある方から「こぐま会は、難しいことはやらないんですか」という質問を受けました。こうした質問は、かなり前から受けていましたので、驚きませんでしたが、基本を重視した授業を徹底すると、外部の方には「易しい」ことばかりやっているように映るのかと私自身も勉強になりました。「こぐま会は、どこよりも難しい学習内容を設定していますからご安心してください」と伝えました。その具体例として、たとえば年長向けの「論理的思考力講座」も開講していますし、最難関校といわれる雙葉小学校にも、毎年どこよりも大勢の合格者を送り出しています。

 こぐま会は基礎を大事にしています。それは、応用問題を自分の力で解くためには、しっかりとしたものの見方が身についていないといけないと考えているからです。毎週1回の基本クラスでは、どの学校にも通用し、将来の教科学習の土台になる内容を学習していますが、それだけで入試に対応できるとは私自身も考えていません。もうひとつの柱である、学校別指定校クラスで、入試問題のレベルに合わせたトレーニングを積み、その総合力で合格を目指しています。基本を大事にすることがやさしいことばかりすると勘違いされている面があるようですが、基本が身についていない子どもの入試対策は、教え込みでやるしか方法はありません。そんなやり方で合格できる学校は、いまやひとつもありません。基礎学力がしっかり身についているかどうかは、答えの根拠を説明させればすぐわかることですが、この根拠を説明させることこそ、基礎学力育成の一番大事な手法です。

 入試問題の分析も十分にしないまま(というより、指導者が基礎が何かがわからないから、分析できないのだと思いますが)むやみに難しいことを学習させたり、難しい模擬テストを受けることが入試対策だと思い込まされている方があまりにも多いのに驚いています。これが、間違いだらけのお受験対策の典型です。業者サイドの思惑で右往左往しないよう、実際の入試問題を正確に把握し、分析してみてください。今の入試問題は、難問奇問ではなく、学校ごとに工夫された実にまともな良い問題であることがわかるはずです。

 現在の入試問題は特殊な教育を受けなければ解けないものではありません。発達に見合った幼児教育をきちんと受けていれば十分対応できる問題ばかりです。基礎を大事にするということは,やさしいことばかりをやるということではなく、本物の学力を身につけるということなのです。

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