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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

バランス脳という考え方

第86号 2006/12/22(Thu)
こぐま会代表  久野 泰可

 先日、韓国でKUNOメソッドの普及に尽力されている方の紹介で、脳科学の成果を教育や企業の人材育成に役立てようと力を注いでいる方とお会いし、韓国での教育状況をいろいろ伺いました。今、韓国ではこの研究や実践が盛んなようです。幼児期の教育もそうした流れの中でいろいろな試みがされているようです。

 日本でも書店に行くと、脳を活性化するという名目でたくさんの書籍や練習帳なるものが販売されています。テレビでも、老人の脳に関する病気の説明などよく報道されています。右脳教育が話題になった時期もありました。左脳は知性を育て、右脳は感性を育てるとよくいわれます。脳の働きが、人間の活動にどのように影響してくるのか・・・かなり科学的に証明されてきているはずなのに、なぜか「脳と教育」の関係を教育の現場に持ち込むことには、私自身抵抗がありました。

 「ここを刺激すればこうなる」式の教育方法論には、なぜかなじまない感じを持っていました。しかし、脳科学の成果を教育に活用するということは大切なことかもしれません。今回、韓国の方が見えた理由のひとつは、そうした脳科学の成果を、KUNOメソッドの中にも取り入れたらどうかという提案でした。

 韓国でも盛んに右脳教育が行われていたようですが、今はブームが去り、右脳と左脳をバランスよく活用した教育法の開発に関心が向いているようです。右脳・左脳に代わって「バランス脳」という言い方をしていました。その、バランス脳を育てるために、KUNO-method は大変優れているということのようです。つまり、右脳を育てる内容と左脳を育てる内容とがバランスよく構成されているということのようです。

 この話を聞きながら、私は、学力がありながら合格できなかった子のことを考えていました。そうした子の多くは、表現力に欠けるのです。正しい判断をしていながら、それを言葉で表現することが苦手なのです。また集団活動において、相談して何かを解決しなくてはいけないような場面でも、一言も自分の考えを言わず終わってしまうことがよくあります。左脳的な能力に優れていながら、右脳的な能力がバランスよく成長していないということになるのでしょうか。

 左脳と右脳がバランスよく成長してこそ、「賢い子ども」といえるのでしょう。左脳の発達が右脳を助け、右脳の発達が左脳を助け、その結果として「バランスのとれた脳」の成長が保障されるのです。そう考えれば、小学校入試が、ペーパーテストだけの点数で合格が決まらず、行動観察テストの結果も重視されているという現状も、よく理解することができます。

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