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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

秋の入試を予想しその対策を考える

第829号 2022年9月23日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 コロナ禍3回目の今年の入試はどのように行われるのでしょうか。最近2年間の問題傾向と学校関係者の発言を聞いていると、大枠において次のような入試になることが予想されます。
  1. 学力試験はより難しくなり、難易度はコロナ禍以前の水準に戻ることが予想される
  2. 運動系の指示行動が多かったこの2年間の行動観察は、少し変化することが考えられる。集団活動を前提に課題を与え、みんなで相談し、作り上げたものを使ってみんなでごっこ遊びをするというコロナ以前のやり方が復活することが予想される
  3. 面接試験がこれまで以上に重視されると思われる。家庭での子育てのあり方、子どもとのかかわり、自主性を育てる環境づくりなどが評価の視点になると思われる

つまり、工夫された学力試験、行動観察における非認知能力の評価、家庭らしさを見る面接試験・・・この3つの観点で合格点をとらなければなりません。単に学力だけを高めておくといった対策では、合格にはつながりません。

こうした大枠を前提に、それぞれの試験への対策をお伝えします。

学力試験
  1. 子ども自らが考え、試行錯誤して答えを導き出す経験をたくさんさせること。その経験を持たせないと、最近の入試問題の特徴である「考える力」をみる新出問題を自分の力で解いていくことができない
  2. 数・図形などの領域において、生活と切り離された問題よりも、遊びや生活の中で経験する数的な経験や図形感覚を問うような問題が増えている。1回の説明で問題の意図をしっかりつかむためには、実体験を媒介とした生きた学力が必要
  3. さまざまな問いかけに対応できる柔軟さを身につけるために、1つの問題をいろいろな角度から質問し、本当に理解できているかどうかなどを点検する学習が大事。そのために、量をこなすという発想の学習では柔軟な思考力は身につかない
  4. 問いかけの中で注意しておかなければならないのは、「逆からの問いかけ」である。1枚のペーパーで指示どおりの質問に答えさせたあと、「さあ次のペーパーをやりましょう」ではなく、同じペーパーを使ってさまざまな角度から質問し、それに答えさせていくような経験が必要
  5. 聞く力を確実なものにするために、入試まで毎日「話の内容理解」に取り組ませる。2~3問が好ましいが、1問だけでも構わない。感覚を鈍らせないためには、試験当日まで毎日やることが大事。もう一つ、毎日やる課題は暗算練習である。指を使わずに、話を聞きながら頭の中で数の変化をイメージできるようにしておく
  6. 図形問題は「回転図形」がポイント。そのうえで、「対称図形」「重ね図形」もしっかり対策をとっておくこと
  7. 作業能力を問う典型的な問題は、「飛び石移動」の問題である。コマの動かし方をしっかり身につけることが大事。2~3つのものを動かして答えを導く場合に間違いがよくみられるが、そこをしっかり練習することが大切
  8. 「法則性の理解」は、「考える力」を見る意味で最近よく出されている。「図形系列」「魔法の箱」「回転推理」は、しっかり練習しておくこと
  9. 工夫された難しい問題が出される一方で、「常識」問題もよく出されている。コロナ禍の生活で、当たり前のことが経験できなかった3年間だったので、今年受験する子どもたちは、それ以前の子どもたちと比べると実体験が極端に少ない。常識問題に含まれる課題に関しては今からでも遅くないので、実際に経験させ知識だけに終わらせないようにすることが大事
行動観察
運動系の命令指示行動は減ると思われる。課題を与えられ、グループで話し合い、その方針に沿って実行し、出来上がった作品を使って「ごっこ遊び」をするという形に戻ることが予想される。コロナの感染状況が悪化すれば運動系の指示行動がそのまま続くが、 変わることを想定し、その対策をとることが大事である。人の話をよく聞く、自分の意見をしっかり言える、協力して最後までやり抜く・・・どんな場合でも、自分で考え、自分で判断し、自分で行動できるようにしておきたい。型を教え込むような対策は学校側が一番嫌う。その子らしさを表現しなければならない。リーダーシップが取れるかどうかはあまり関係ない。積極的に参加し、自分の役割をしっかり担えることが大事である

面接試験
最近の面接試験は、質問に対して何をどう答えたかではなく、その回答を通して家庭の雰囲気を伝えられることが大事である。答えの引き出しをたくさん持って臨むと、答えられなかった時に頭が真っ白になってしまい、あとが続かない。用意した答えをロボットのように答えるのではなく、その場で考え、感じたことを素直に言葉で表現できることが大事である。想定問答集などに頼るのではなく、与えられた課題に対して日ごろから意見交換しておくことが大事である。ある課題を与えられ、3人で相談した結果を子ども自身が発表するような形式の試験が増えてきた。その三者のかかわりの様子から家庭での子育ての様子を見ようとしている。ご両親の顔を見て確認してからでないと話せないようなことがないよう、普段から子どもを交えた会話をたくさん持つことが大事

以上、3つの観点からポイントをお伝えしましたが、学力試験の対策として次の内容をもう一度理解できているかどうか確認してください。

未測量単位の考え方/シーソー/つりあい
位置表象左右の理解/四方からの観察/飛び石移動/地図上の移動
一場面を使った総合問題/数のやりとり/交換/暗算
図形図形構成―分割/対称図形/重ね図形/回転図形
言語一音一文字/しりとり/言葉つなぎ/言葉づくり/話の内容理解
生活 他常識問題/魔法の箱/回転推理/図形系列


 重版決定!! こぐま会代表 久野泰可 著「子どもが賢くなる75の方法」(幻冬舎)

読み・書き・計算はまだ早い!

家庭でできる教育法を一挙公開
子どもを机に向かわせる前に実際の物に触れ、考えることで差がつく。
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