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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

正確な入試情報を

第80号 2006/11/10(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 首都圏の私立小学校入試も一段落し、残すところ数校の合格発表と二次募集の入試だけとなりました。また、国立附属小学校の抽選もすでに始まり、12月にかけて本試験が行なわれます。

 今私たちは、入試を終えた子どもたちや保護者の方々の協力を得て、入試問題の聞き取り調査とその分析にとりかかっています。今年の私立小学校の入試問題の分析と合否判定のあり方については、12月7日に行う「2007年度私立小学校入試分析セミナー」で公表する予定です。来年度以降受験される皆さんは、ぜひお集まりください。入試問題と合否判定のあり方をきちんと把握しておかないと、業者側の思惑で、極端に難しい問題をトレーニングしなければ合格できないと思い込まされ、入試の実際にあわない対策をとらされることにもなりかねません。特に、入試間際に行われる模擬テストの内容が、入試の実際とかけ離れ、受験生を不安にさせているのではないかと思われることが毎年よく見受けられます。そこで自信をなくしたのでは、せっかく積み上げてきた学習が台無しです。そんな事にならぬよう、実際の入試問題をよく分析し、そこで求められている能力をきちんと把握しておく必要があります。

 もうひとつ懸念していることがあります。それは、入試問題をきちんと分析し、そこで求められている能力をしっかり把握しておかないと、1年後の入試に向けて学習をスタートするこの時期から、すぐに過去問のトレーニングをするという誤った学習が行われる危険があるということです。子どもたちが自分の力で、初めての問題を解いていくためには、「基礎学力」がしっかり身についていなければなりません。そのためには、子どもの理解の道筋に合わせて、学習する内容を準備してあげなくてはなりません。いわゆる学習の順序性・系統性を考えたとき、最初から過去問をトレーニングするような指導は間違っています。過去問のトレーニングは、基礎学力が完成する4月以降で十分間に合います。それまでは、事物やカードを使って、物事に働きかける経験をたくさん積むべきです。試行錯誤する時間を保証してあげなくては、思考力の基礎は身につきません。

 今、私の手元にある今年度の入試問題を見る限り、全体として問題がよく練られ、難しくなっています。世の中全体の「学力低下懸念」が、小学校入試の問題にも反映してきたのではないかと思います。言語領域の問題が重視されるのではないかと予想していましたが、実際その通りになりました。ペーパーだけを使ったパターントレーニングで解けるような問題はほとんどありません。質問の意図をすばやく理解し、しっかり考えて解かなくてはならない問題がほとんどです。「思考力」が要求される問題が増えていくのではないかと予想していましたが、それが見事に的中しました。

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