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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

来年秋の受験をめざす方へ

第67号 2006/07/28(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 こぐま会は7月17日から夏季講習会を行っていますが、来年秋に受験をめざす、現在年中ゆりクラス対象の講習会にも外部生の方が大勢参加されています。例年、この夏季講習会を終えて、9月頃から一年後の入試をめざして入会者が増えていきます。私たちは、入試の準備期間としては2年間が好ましいと考え、ゆりクラス(年中)とばらクラス(年長)の連続性を踏まえたカリキュラムを準備しています。それは、最近の合否判定の仕方が必ずしも学力試験の結果だけではないと考えているからです。そのために、こぐま会の年中ゆりクラスでは、事物体験を十分持たせることを目的に、ほとんどペーパーを使わない教育を徹底しています。そうした事物教育と集団活動を通して、考える力の基礎や表現発表力の基礎を育てようと考えています。

 受験に向けていつからスタートすべきかは、個人差がありますから一概に言えませんが、ただスタートしたその時点からペーパーで過去問をこなすような準備教育では、考える力は身につきません。受験対策イコールペーパートレーニングと考えるのは、もう15年以上前の話です。いまや、小学校受験で一番求められているのは「考える力」です。その「考える力」をどのように身につけるのか、その道筋がはっきりしない入試対策では、合格を勝ち取ることはできません。

 1年という月日は、5~6歳児にとって、すばらしく思考力が成長する期間です。その見通しに立てば、年長の夏頃にやるべき難しい課題を、受験対策をスタートした1年前にやる必要はないのです。基礎が何で、応用が何かがわかっているものであれば、今すべき重要な課題は、おのずから明確になってくるのです。私が一番恐れているのは、「早く入試レベルの難しい問題が解けるようになってほしい」と考えるばかりに、解く方法を教え込むことが受験対策だと思い込んでいる方が多いということです。知能テストの問題のように、同じ問題が出るのなら、そのやり方もひとつの方法でしょう。しかし、今やどの学校でも一度も出したことのない問題を出そうと研究に研究を重ねています。つまり、機械的なトレーニングによって身につけた学力は信用できないと学校側は考えているのです。

 そうであるのなら、子ども自身が自分の力で初めての問題にも立ち向かっていけるような力をつけてあげなくてはならないのです。ただし、それには時間がかかります。ですから、子どもの成長を待つ大人の姿勢も大事です。私は長い指導経験から考えて、やはり基礎を固める時期の教育は、事物を使った教育であるべきだという強い信念を持っています。物事に働きかけ、試行錯誤するその過程にこそ、子どもの思考力が深まるチャンスがあるのです。1年後の入試に向けて、その対策をスタートさせる時期だからこそ、入試までの学習計画をしっかりと立て、学習の順序性を踏まえた、まともな受験対策をとってほしいと願っています。

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