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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

知的財産はどう守られるのか

第636号 2018年8月3日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 これまでも多くの方から、実名・匿名を問わず、こぐま会の教材が他の幼児教室で無断で使われている、あるいは無断でコピーされて家庭学習用に配布されているというご指摘をいただいています。現会員の方からも、以前通っていた塾ではコピーされて授業で使われていたという話もたくさん聞いております。だいぶ以前ですが、著名な方が運営する塾で、コピーされた教材が独自なものだといって値段までつけて売られており、匿名で実物を送っていただいたこともありました。その都度警告を発してきましたが、あまり効果がないようです。同業者からは、裁判で知的財産の侵害で訴えるべきだというご指摘もいただいております。最近また有名な塾で、こぐま会の教材がコピーされて使われているという報告がありました。20年かけて作り上げたこぐま会の知的財産だからこそ、裁判で訴えるべきだという声も強くあります。

ただ、私が著作権者でありながら、これまでこうした事実を半ば無視してきたのは、ある種の迷いがあったからです。

  1. 商品として販売している以上、同業者であろうと使われるのは仕方ない
  2. 実際に問題集を各自購入して使われているのか、コピーして使われているのか、最終確認が難しい
  3. 子どもたちのために開発した教材である以上、それがもし評価されているならば、共有財産として後世まで残っていってほしい

一方で、知的侵害で訴えるべきだと思うのは

  1. コピーして使われていることのほうが多い
  2. 個人向けに販売しているものが、利益を生む教育機関で教材として無断で使われているのは明らかに知的侵害である

最近判明した事例は、当事者が有名な方であるだけに、またコピーされていることが判明しているため、その扱いは弁護士に相談して何らかの対策を取るつもりです。

思い起こせば、この知的財産の件については、これまでいろいろな出来事がありました。

  1. こぐま会の教材制作に携わった職員をヘッドハンティングし、100冊の「ひとりでとっくん」をばらして再編集し、販売用の問題集にしてしまった
  2. 「一対多対応」という私がつくった造語を無断で使い、問題集として販売している出版社がある
  3. コピーした大量の問題集を家庭用教材に使っていたことが判明した塾に警告を発したところ、逆に提携の申し出があり、それ以来友好関係を保って現在に至っている。その塾が今生徒数を伸ばし、躍進中である
  4. ネット上で課金すると送られてくる教材の中に、こぐま会の教材が使われている
  5. コピー天国の中国では、ネット上で「ひとりでとっくん365日」を海賊版として販売している会社が10社も在る

これまでも、研究論文にこぐま会の教材を使いたいので・・・ということだったり、新書版の著作物にこぐま会の教材に触れたいので・・・など、常識ある方々からは、使用許可の申請をいただいています。また、テレビドラマや映画で、小学校受験に関するシーンで使う教材等については、必ず申請があります。当然のことです。しかし、こうした手続きを守らないで、無断で使用していることがあるとすれば、やはり裁判に訴えるしか知的財産を守る術がないのかも知れません。韓国や中国のことだけを批判できない、より巧妙な手口で知的財産を侵害している事実が、この日本でも起こっているということを知るにつけ、教育を商品化する過程で生まれるこうしたゆがんだ行為は許すことはできません。指導する大人が、子どもたちに向かって「約束を守りなさい」と言えない、悲しい出来事です。

幼児教室を主宰されている皆さまへ
 こぐま会の考え方に賛同され、教室の授業でこぐま会の教材(市販品だけでなく、授業用教材も含む)の使用を希望される方は、ぜひ教材使用許可の申請をしてください。提携塾として認定し、その上でこぐまオリジナル教材が正当に使用されていくことを願っています。お問い合わせはメールにてお願いします。
E-Mail:koguma@kogumakai.co.jp


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