週刊こぐま通信
「室長のコラム」残り2カ月の学習をどうすべきか
第589号 2017年8月25日(金)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

7月17日から始まった夏季講習会も、今週のFクールの授業をもってすべて終了することになります。この期間は、われわれ教師にとっても、朝から夕方まで5日間連続で最低3コマの授業を担当するため、とても体力のいる6週間でした。何とか想いをかなえさせてあげたいという強い気持ちを持たない限り、継続は困難です。その意味で、子どもだけでなく指導するわれわれ職員にとっても、受験指導にとって山場の夏でした。来週から始まる4日連続の「総合演習」に気持ちを切り替えて臨まなければなりません。

こうした動きをいち早くキャッチし、3年ほど前から「新傾向の問題講座」を夏に開講してきました。この講座には今年も大勢の子どもたちが参加し、熱心に取り組んでいました。毎日2つの課題を取り上げ、徹底的に練習します。もうこの時期ですから基礎はしっかりできています。その上での講座ですから、授業方法もまったく新しい方法を取りました。
- 第1段階
- 基礎的な事項が本当に分かっているのかをペーパー問題でチェックする
- 第2段階
- その問題で求められている思考法を、具体物やカードを使って繰り返し練習する
- 第3段階
- そのテーマに関する実際の入試問題を難易度ごとに系列化し、特に難易度の高い問題をやってみる
- 第4段階
- 家庭では、より難しい問題に挑戦できるように、過去問を家庭学習用に用意する
取り上げた10の課題は、以下のとおりです。
課題 | ||
---|---|---|
1日目 | つりあい・交換に関する応用問題 | 言葉つなぎ |
2日目 | 三角形を基本とした図形構成 | 作業を通した関係推理 |
3日目 | 飛び石移動 | 単位の考え方 |
4日目 | つみ木を使った四方からの観察 | 正方形を基本とした図形構成 |
5日目 | 一場面を使った数の総合問題 | 線対称 |
おそらく今年の入試も、この中から多くの問題が出されるはずです。一つ一つの問題は単独で成り立っているわけではなく、多くの基礎的な事項の理解の上に成り立っています。例えば、最近いろいろな学校で出されている「交換」の問題について言えば、
A) かけ算の基礎として「一対多対応」の理解ができているか
B) わり算の基礎としての「包含除」の考え方ができているか
C) あるものに置き換えて考える思考法が身についているか
D) 数をイメージできる「内面化」(暗算能力)が身についているか
E) 「=」で表される意味(「同じ値段」のような子どもにとって抽象的なものでも)を理解できるか

10月に入ったら、今度は逆に基本問題にシフトしてください。ばらクラス生の皆さまは、お渡ししている「基本学習ボード」90枚をもう一度取り出して確認してください。その際、ぜひ問題の意図と答えの理由を言わせてください。間違った答えを出しても、説明するうちに自分自身で誤りに気づき修正していく場合が少なくありません。ぜひ実行してください。
難しい問題ができないことが気になると思います、現在の入試は全体として基本問題に戻りつつあります。基本問題でミスするのが一番の命取りになります。常識問題などは絶対に落とさないよう、繰り返し練習してください。もうひとつ以前と違うのは「作業して答えを導き出す」ことです。それをやっていないと、本試験で相当戸惑うはずです。指示をしっかり聞き、自分の力で答えを導き出す経験をたくさん積んでください。
9月以降、こぐま会併設のSHOPこぐまには、新傾向の問題を含め、入試直前にお使いいただく問題集を揃えておりますので、ぜひ活用してください。