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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

合格のための学習法(1)答えの根拠を説明させること

第57号 2006/05/18(Thu)
こぐま会代表  久野 泰可

 こぐま会のばらクラス(年長クラス)は、今週で基礎段階の学習を終了します。7つあるステップのうち4つまで進んだことになります。この段階までの学習で、入試で問われる8割以上のテーマを学習したことになりますので、いよいよ過去問トレーニングが意味をもってきます。教えられたとおりに問題をこなすのではなく、自分の力で問題を解くことができるようになる時期です。これまでの事物教育によって、ものの見方・考え方の基礎が固まりましたので、これからがペーパー学習が意味を持つことになります。

 理解度を点検し、多様な問題に挑戦し、応用力をつけるために、これからのペーパートレーニングには大きな意味があります。これまで、できる限り具体物やカード操作を中心に学習してきたその効果が、ペーパートレーニングで発揮されるはずです。教え込みの学習は同じ問題が出れば効果的ですが、いまや、入試問題のほとんどは、子どもたちにとって、「一度もやったことのない問題」なのです。つまり、学校側もいろいろ工夫し、機械的なトレーニングでできてしまう問題は出さないのです。知能検査の問題に象徴される、パターン化した問題は、どの学校も出さなくなりました。なぜでしょう。学校側が求めているのは、本当に身についた思考力であり、それを限られた少ない数のペーパーで検査しようとしているのですから、当然といえば当然です。

 4月以降、入会相談にみえる方のほとんどが「相当早くからペーパーをやってきたのですが、テストで思うように点が取れないのです。」という悩みを持っています。私はそうした方々に、「答えの根拠を説明させてみてください。そこでしっかり説明できれば問題ありませんが、事物体験のないままのペーパートレーニングでは、多くの場合、教え込んだ解き方は身につくかもしれませんが、そのことで、本当に理解したことにはなりません。」とお答えしています。そして、「遅くはないので、一度ペーパーを離れ、事物やカードを使って、繰り返し試行錯誤をさせてみてください。そして、質問に対して、なぜそうなるのかの根拠を自分で説明できるまで繰り返してください」と、基礎学力の点検をお勧めしています。

 最初からペーパーだけを使って学習してきた子どもたちは、これから夏に向かって大きな壁に直面します。問題が複合化し、難しくなってくると、形だけを身につけた子どもたちは応用力がきかず、初めて出会う問題に戸惑ってしまうのです。基礎ができていないところに、解き方だけを教え込まれた子には、初めての問題は設問の意味すらも理解できないのです。そうしたことにならないように、今この時期にこそ基礎学力の総点検をしてください。点検の仕方は簡単です。やや難しい問題を課題に与え、なぜそうした答えになるのか、解き方の根拠を説明させることです。私たちが、「対話教育」を重視しているのは、そうした理由によるものです。

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