週刊こぐま通信
「室長のコラム」アプリ「ひとりでがんばりマスター!」活用法
第568号 2017年3月10日(金)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

1月31日より、こぐま会のヒット商品である「ひとりでとっくん365日」のテストをアプリ化した「ひとりでがんばりマスター!」を発売しました。この商品は、アニメ制作で有名な「PAワークス」グループが、アニメを使った通信教育「親子でがんばりマスター! 忍者ふでまる」(仮)に先立ち商品化したものです。内容の監修をすべて私が行い、声優の問題文吹込み現場にも立ち会い、2年近くかけて開発したものです。
幼児にアプリを使わせるのが良いのかどうかの議論もありますし、健康上の問題も考えなくてはいけません。また、このアプリで幼児期の基礎教育すべてが可能だと考えているわけではありません。昔では考えられなかったツールを幼児教育に活用できないかと考えて開発したものです。ですから、使い方には大人の配慮が必要ですし、事物教材やペーパー教材も使いながら、より効果的な使い方をしていただきたいと思います。
「ひとりでがんばりマスター!」は、1巻から8巻まであり、テスト形式になっています。
領域 | 内容 |
1巻 | |
---|---|
未測量 | 大きさくらべ |
位置表象 | 位置の対応(1)/上下関係/前後関係 |
数 | 分類計数/5の構成(1)/5の構成(2)/7の構成 |
図形 | 選択抹消/同図形発見 |
言語 | 一音一文字/同頭音 |
分類 | 仲間あつめ(1) |
推理 | 図形系列 |
2巻 | |
未測量 | 多さくらべ |
位置表象 | 位置の対応(2)/位置の対応と置き換え |
数 | 同数発見 |
図形 | 図形構成(1) |
言語 | しりとり |
分類 | 私は誰でしょう(1) |
記憶 | 位置の記憶/方眼上の位置の記憶 |
常識 | 社会的道徳 |
3巻 | |
未測量 | シーソーの原理/シーソーの三者関係 |
位置表象 | 右手・左手/右足・左足/右・左 |
数 | 数の多少(1) |
図形 | 8個の積み木 |
言語 | 動き言葉 |
分類 | 仲間はずれ(1) |
推理 | 鏡映像(1)/鏡映像(2) |
常識 | 理科的常識【切断面】 |
4巻 | |
未測量 | 関係推理 |
位置表象 | 交差点の曲がり方/一本道の右・左(1)/一本道の右・左(2)/地図上の移動 |
数 | 数の多少(2)/数の多少(3) |
図形 | 積み木の数 |
言語 | お話づくり |
常識 | 季節の理解 |
5巻 | |
未測量 | 長さくらべ/順対応 |
位置表象 | 四方からの観察(1)/四方からの観察(2) |
数 | 連続量の等分/数の等分 |
図形 | 点図形(1) |
言語 | 話の内容理解(1) |
分類 | 仲間あつめ(2)/二重分類 |
推理 | 方眼上の位置の移動(1) |
記憶 | 一場面の記憶/具体物の記憶(1) |
6巻 | |
未測量 | 言葉による三者関係 |
位置表象 | 方眼上の位置(1) |
数 | 一対多対応 |
図形 | 図形分割(1)/図形分割(2) |
言語 | 昔話の理解(1) |
分類 | 私は誰でしょう(2) |
推理 | 置き換えと図形系列 |
聞き取り | 順序の聞き取り(1)/順序の聞き取り(2) |
7巻 | |
未測量 | 単位の考え方【長さ】/単位の考え方【面積】 |
位置表象 | 四方からの観察(3) |
数 | 一対多対応と合成/一対多対応と等分/一対多対応と包含除 |
図形 | 図形構成(2)/図形分割(3) |
言語 | 昔話の理解(2)/話の内容理解(2) |
推理 | 回転推理 |
記憶 | 具体物の記憶(2)/数の記憶/図形の記憶 |
常識 | 理科的常識【植物】/社会的常識【職業】 |
8巻 | |
未測量 | シーソーの四者関係/言葉による四者関係 |
位置表象 | 方眼上の位置(2)/方眼上の位置の移動(3)/方眼上の位置の移動(2) |
数 | 10の構成/条件迷路 |
図形 | 点図形(2) |
言語 | 話の内容理解(3) |
分類 | 仲間はずれ(2) |
聞き取り | 聞き取り |
1巻に収められている問題数は、大体200問です。その200問の中から毎回10問がランダムに出てきて、音声で子どもに問いかけます。10問終わると結果が集計され、全問正解で100点満点となります。2回目にはまた別の10問が出て、同じ問題を出さないように工夫されています。8巻ありますから、合計1,600問が用意されていることになります。
でき上がったアプリを実際に子どもたちに触ってもらい、また、私自身もチェックしてみましたが、予想以上に繰り返しの学習に意味のあるものだと感じています。それは、
- 記憶問題の練習には最適である
- 特に質問の聞き取り能力を高める点で効果的である
- 子ども1人で繰り返しのトレーニングができる
しかし、使用にあたって気を付けていただきたいこともいくつかあります。
- 長時間取り組ませないでください。せいぜい1回最長でも20分が限度です。それは、目に与える影響だけでなく、一つのことに集中する時間は、幼児の場合20分~30分が限界だからです
- ゲーム感覚でやりすぎてしまうと、偶然の答えの結果を待つことになり、真剣に考えなくなってしまいますので、学習素材として与えるのが良いと思います。100点を取る覚悟で、取り組んでもらうのが良いと思います
- 具体物教材やひとりでとっくん365日で学習している方には、最後の点検手段として与えてください。それが一番効果的な使い方です。身につけた認識能力を点検する素材として使っていただくのが、われわれ作り手の願いです
- こぐま会関連の教室において、こぐま会のKUNOメソッドで学習しているお子さまには、家庭用復習教材として使っていただけるよう、専用のタブレットを準備しているところです
アプリを使った学習ですべてが解決するとは思っていません。具体物もカード教材も教具も、そしてペーパー教材も大事です。その中の一つのツールとして今回のアプリを活用し、有機的なつながりの中で子どもたちの考える力を育ててください。