週刊こぐま通信
「室長のコラム」併願校対策を夏休みにどのように行うか
第538号 2016/7/15(Fri)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

第4回目の室長特別受験セミナーは、「併願校対策を夏休みにどのように行うか」というテーマで行いました。併願対策を考える場合、いくつかの視点があります。
- 1. 日程上で併願可能かどうかを調べておく
- 日程上だけの問題であれば、都内在住者の場合、10月に行われる神奈川の学校、11月1日~3日の間に行われる主要校、4日以降に行われる共学校、10日以降に行われる学校、12月に行われる国立附属小学校・・・こう考えてくると、5校は併願可能となります。その上で、同じ日でも時間差で複数校受けることもできますので、6~7校受験は可能です。
- 2. 本試験では日程がずれていても、受験できない場合がある
- それは、10月中に行われる面接試験日が重なってしまう場合です。基本的には指定の日に面接に来ない場合は棄権とみなされます。ただ最近では、受験者の立場に立った柔軟な姿勢を見せる学校も現れ、例えば園の運動会と日程が重なった場合や、伝染性の病気にかかった場合などは、証明するものを持っていけば変更できる学校も出てきました。この措置は、すべての学校ではありませんが、いずれ拡大していくと思います。
- 3. 同じ日に複数校受験できるのは、受験番号の付け方が学校によってまちまちであるから
- 受験番号の付け方には、受付順・月例順・五十音順等、学校によって違います。郵送での受付が一般的になりましたが、日付が変わる夜中に出したからといって、若い番号がもらえる保証はどこにもありません。そうした異常な状況を改善するために、学校側が「早く並んでも若い番号は出しません」というメッセージを送っているのかもしれません。出し方による操作で思い通りの番号がとれるケースはだんだん少なくなっています。
- 4. 併願対策で一番の問題は、出題方法・出題傾向・難易度等が違う学校を併願する場合の学習の仕方です
- すべての学校に同じような時間を取って取り組むこともできないし、かといって何の対策もとらないで受験しても結果は明らかです。この点をセミナーでは詳しく、具体的にお伝えしました。
- 「併願校対策を夏休みにどのように行うか」
-
1. 昨年度の入試日程から見る、併願可能な学校A) 日程上の組み合わせ
B) 併願基本パターン
C) 2016年度複数校合格事例2. 併願対策を行うにあたって守るべき基本的なことA) 日程で問題なのは、事前の面接日
B) 第1志望校に合格するためにどうするかをまず考える
C) しかし、他校の対策を何もしないで受験しても結果は明らか
D) 学校に偏らない対策は、基本授業の理解を徹底させること3. 具体的な組み合わせに関する学習アドバイスA) 女子校(男子校)+共学校例 : 聖心+学習院、 雙葉+慶応横浜初等部、 暁星+慶應幼稚舎B) 共学校+女子校(男子校)例 : 慶應幼稚舎+聖心、 学習院+白百合C) ペーパー校とノンペーパー校の組み合わせ例 : 雙葉+慶應幼稚舎、東洋英和+学習院D) 難易度の違う学校の組み合わせ例 : 雙葉+田園調布雙葉、 聖心+東京女学館4. 短時間で効果を上げる併願校対策A) ぺーパー試験があるかないかにかかわらず、ペーパー学習は徹底する
B) 新傾向の問題には必ず取り組む
C) 雙葉・聖心・筑波の過去問には、必ず取り組む
第1志望校の対策を中心に夏の学習方針を立てるのはもちろんですが、時間のある夏にこそ併願対策を行うべきです。併願対策で一番大事なことは、その学校の過去問にこだわらず、小学校入試で求められる思考力の基礎をしっかり身につけておくことです。基礎をしっかり身につけるためには、
- 最初からペーパーを使ったトレーニングでは、基礎は身につかない。
- 解き方を教え込むような詰め込み主義では、自分で考えることができない。試行錯誤させ、自らの力で解けたという経験を持たせる。
- 本当に理解できたかどうかは、子ども自身に解き方を説明させること。