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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

東京と富山県南砺市を結んだICT授業

第535号 2016/6/24(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 来年配信を予定しているアニメを使った通信教育に先駆け、その運営組織である「こぐまなびプロジェクト」 主催の教育講演会&体験授業が、6月19日(日)に行われました。

富山県南砺市城端に最近完成した「南砺市クリエイタープラザ」。そこへ私が赴き、第1部は「幼児教育に新しい風を」と題した教育講演会を行いました。その内容は以下の通りです。

「幼児教育に新しい風を」 - 賢い子に育てるために -
1. 今幼児教育が注目されている
  • 5歳までの教育が人間の一生を左右する
2. 幼稚園・保育園の教育に満足していますか
  • 日本の幼児教育の課題
3. こぐま会が実践してきた「考える力教育」とは
  • 何を学ぶのか
     教科前基礎教育、 6領域の学習
  • どのように学ぶのか
     事物教育・対話教育の実践
4. 賢い子に育てる75の方法
  • 子育てで大切にしたいこと
    毎日の経験の中に教育のチャンスはいっぱいある
  • 「視点を変えてものを見る」ことができる柔軟な思考を育てる

第2部では、南砺市近郊にお住まいの年長のお子さまを対象に、こぐま会で行っている授業をICT技術を活用した遠隔授業で行いました。東京代官山にあるKUNOメソッドライブラリーから、こぐま会の教師が城端に集まった子どもに語りかけ、カードを使った授業を中心に体験授業を行いました。今回のテーマは、「視点を変えてものを見る」ということで、以下のカリキュラムで行いました。

「視点を変えてものを見る」
(1) 観点を変えた分類
A) 8枚のカードに描かれた生活用品の共通点を探し、仲間あつめをする
B) 一度行った仲間あつめを壊し、別の観点で仲間あつめをする
(2) 右手左手の理解
A) 自分の右手 - 左手
B) 向き合ったお友だちの右手 - 左手
C) 右手に風船を持っている人を探す(カード)
(3) 四方からの観察
A) ヤカンを四方から見た絵を探す
B) カップと花の入った花瓶を反対から見た絵を、その場に行かないで描く

もともと、私たちの教育理念の一つである「対話教育」は、子どもの反応を教師が素早く察知し、その上で、さまざまな働きかけを行うことが大事ですから、今回の試みにおいても、その点がどのように保障されるのかどうかが一番の関心事でした。映像のやり取りでそれが実現できるかといった・・・技術的な問題がありますので、今回は専門家の方々に協力をいただいて、最高の環境で新しい試みができたと思っています。しかし、対面に勝るものはありません。そのことを大前提として、それでも可能な限り、映像を通して教師と子どもが一体感が持てるようにするにはどうするかを検証しなければなりません。大学受験の予備校の授業と違って、一方通行の講義ではありません。その点が幼児の場合は決定的に違います。会場に集まった多くの保護者の方々も、技術的な問題が解決すればぜひ参加したいというご意見でしたので、授業内容も厳選し、45分程度の時間に集中できればよいと思います。はじめて行った幼児の遠隔授業の問題点を洗い出し、この試みは今後も続けていくつもりです。これが成功すれば、日本全国どこにでも配信できますし、それだけでなく、世界に配信できるはずです。「こぐま会の授業を全国の子どもたちに・・・」をキャッチフレーズに、当分の間、試行錯誤が続きます。

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