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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

ステップ6の学習に入りました (1)

第533号 2016/6/10(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 こぐま会の年長クラスは、今週からステップ6の学習に入りました。最後のステップ7は、各領域総まとめの授業ですから、新しい課題はこのステップ6で終了です。夏休みに入る前にすべての領域の基本学習を終え、夏休み以降の学習に備えます。ステップ5と6は、応用段階の学習ですから、内容もかなり難しくなっています。ステップ6の内容は以下の通りです。

未測量 重さのつり合い
位置表象 地図上の移動 / 飛び石移動
 数の増減 / 数のやりとり
図形 重ね図形 / 回転図形
言語 話の内容理解 / お話づくり
生活 他 社会的常識

このステップ6の内容に関する家庭学習の方法を伝える最後の「母親ゼミ」を、6月7日に行いました。ボードを使って基本学習の進め方を解説した後、それに関する入試問題の分析を行い、難しい課題にどうつなげていくかを具体的にお伝えしました。また、一つのテーマでも、これでもかと思うほど工夫された問題がたくさんありますが、その中でも典型となる問題をご紹介しながら、過去問対策の方法をお伝えしました。そのうちのいくつかをここにご紹介いたします。
今回は「未測量」「位置表象」「数」領域の問題と対策についてお伝えいたします。
重さのつり合い
重さのつり合いは、シーソーを使って行いますが、いわゆる三者・四者関係の推理とは違い、一対多対応の考え方を応用します。A=2B, B=3Cのような関係において、AとCの関係を考える場合、Bを仲立ちとして考えることができるかどうかという点が大事です。たとえば次のような問題がそれに当たります。

  • 上のお部屋を見てください。この2つのシーソーはどちらもつりあっています。この時、下のシーソーはどうなりますか。重い方の下のハートを、で囲んでください。つりあう時は、真ん中のハートをで囲んでください。

象とネズミ、ネズミと猫の重さの関係を踏まえ、象と猫の関係をどう捉えるかが問われます。猫をいったんネズミに置き換え、その上で、象と猫の関係を考えればそれほど難しい問題ではありません。また次のように、つり合いが必ずしも重さだけでなく、力のつり合いということもあります。

  • 上のお部屋を見てください。運動会でつなひきをしました。クマ2頭とネズミ4匹がつなをひくと、ちょうど同じ力で、つなの真ん中にあるの印は真ん中の線のところで止まっています。

    次にクマとネズミがそれぞれいろいろな数でつなひきをしました。その時つなの真ん中につけたは図のところに来ました。この中で、の位置がおかしいと思うものに×を、下のお部屋にかいてください。

この問題の難しさの一つは、クマ2匹とネズミ4匹の力がつりあっているということを、クマ1匹とネズミ2匹の力がつりあうということに置き換えができるかどうかという点です。2と4が対応する時、1と2が対応するという考え方は、入試問題のいたるところで出てきます。「半分ずつだから同じ」と言えるまで、少しトレーニングが必要です。

地図上の移動
位置を表象できるかの典型的な問題が、この地図上の移動です。地図が読めない大人も多いですが、これには典型的に3つの問いかけ方があります。
  1. 地図を見ながらお話を聞き、話が終わってから移動する
  2. 地図を見ながらお話を聞き、話を聞きながらすぐに移動する
  3. 地図は伏せられ、話の内容理解の形式で地図上の移動が問われる。話の中に出てくる曲がり角の目印をしっかり覚えておくことが大事
1の方法が基本ですが、2や3も入試では良く出てきます。記憶の要素がいらない2が一番易しく思えますが、実は一番間違いやすい問われ方です。交差点での曲がり方をとっさに判断しないと、話がどんどん進んで行ってしまうからです。特に平面的に描いた地図の上から下りてきて交差点を曲がる際、左右が逆になることを即断しなければなりません。そこでもたもたしていると話についていけなくなり、結局わからなくなってしまいます。話の内容理解では3の方法を取りますので、これも練習してください。ここに話の内容理解に出てくる典型的な問題を紹介します。この場合、地図を伏せた状態で話を聞くことになります。

あきちゃんのお家はパン屋さんの近くです。とても近いけれど、あきちゃんのお家の方からは入ることができません。
あきちゃんはお家からどのような道を通っておばあちゃんのお家へ行ったのでしょうか。これからするお話をよく聞いてください。
  • あきちゃんはお家を出てまっすぐ進み、はじめの交差点を左に曲がり、次の交差点も左に曲がってパン屋さんに行きました。パン屋さんを出て1つ目の交差点をずっとまっすぐ行き、公園の前を右に曲がってずっとまっすぐ行って、次に左に入る道を左に曲がっておばあちゃんのお家に行きました。あきちゃんが通った道を青い線でたどってください。

飛び石移動
すごろくの発展である「飛び石移動」の難しさは、1つのものを動かすのではなく、複数のものを動かさなければならない点、そして1回に動く数がそれぞれ違うという点の2点です。作業をして答えを導き出す典型的な問題です。また、出会ったり追いついたりと、将来の「旅人算」的発想を求める問題である点もユニークです。ここに掲げる入試問題は、その中でも典型的なものですが、これよりもさらに難しい問題も出始めていますので要注意です。

動物たちが飛び石を渡って、向こう側の森へ行こうとしています。
  • ネズミが今いるところから、飛び石を1つずつ6回跳んだらどこに着きますか。着いた飛び石にをつけてください。
  • ネズミが6回で着いた場所に、ウサギが飛び石を1つ飛ばしで跳んで行ったら、何回で着くことができますか。その数だけブドウのお部屋にをかいてください。
  • リスが2つ飛ばしで飛び石を跳んで、向こう岸へ渡ります。何回跳んだら着くことができますか。その数だけリンゴのお部屋にをかいてください。

数の増減
将来のたし算・ひき算につながる「数の増減」は、いろいろな形で問われますが、基本は次のような問題です。

  • かごの中にボールが7個入っていました、ウサギが4個使おうと取り出しましたが、2個戻しました。今、かごの中には、いくつのボールが残っていますか。その数だけウサギのお部屋にをかいてください。

  • リンゴが5個あって、2個食べました。また3個買ってきました。リンゴはいくつになりましたか。その数だけオレンジのをかいてください。
  • チョコレートが4個あります。2個食べて、お母さんが5個買ってきました。チョコレートはいくつになりましたか。その数だけピンクのをかいてください。
  • アメが6個あります。3個食べて、その後にまた2個食べました。アメはいくつになりましたか。その数だけ緑のをかいてください。

数式ではなく、日常的なお話として行うところが、文章題へのつなぎとして意味があります。入試問題のほぼすべてがこの形で出てきますので、話の内容から増やすべきか減らすべきかを判断しなければならず、言葉に対する敏感さも求められます。その意味でとても良い問題だと思います。基本的には10以内の数で行われますので、一方で暗算の能力を養う意味では、良い練習になります。条件を踏まえた次のような問題もありますが、どちらかというと計算式に近付けた問題だともいえます。

  • リンゴが形の中を通るとある約束で数が増えたり減ったりして出てきます。問題のように形を通ると、最後にリンゴはいくつになって出てくると思いますか。その数だけマスの中にをかいてください。

数のやりとり
数のやりとりには2つのパターンがあります。その一つは、数が違う場合、やりとりして同数にするにはどうすればよいかを考える問題、もう一つは、同じ数のものを持っていて、あげたりもらったりした結果違いはいくつになるかという問題です。特に後者が、子どもたちにとっては難しい問題です。たとえば、5個ずつ持っていて1個あげると違いは2個になるという関係が難しく、ほとんどが「1個あげたのだから違いは1個」となってしまいます。片方は1個増え、もう片方は1個減り・・・その結果違いは2個になるということをしっかり理解しないといけません。次のような問題がその基本になります。特に後者の問題が理解できるかどうかがポイントです。

  • ウサギさんとクマさんがそれぞれ5個ずつおはじきを持っています。ウサギさんがクマさんに1つおはじきを渡しました。どちらが多くおはじきを持っていますか。をつけてください。
  • サギさんとクマさんがそれぞれ3個ずつおはじきを持っています。クマさんがウサギさんに2個おはじきを渡すと、どちらがいくつ多いですか。その数だけ多いほうのお部屋にをかいてください。

来週のコラムでは、引き続き「図形」「言語」「生活 他」領域の問題と対策についてお伝えいたします。

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