週刊こぐま通信
「室長のコラム」ドコモgaccoで 「幼児教育に新しい風を」 の講座が始まります
第513号 2016/1/8(Fri)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

株式会社ドコモgaccoが運営するオンライン講座に、3月9日から登壇することになりました。この 「gacco」 (http://gacco.org/) は、大学教授陣等による本格的な講義を、学生に限らずだれでもパソコン・タブレット・スマートフォンを使ってオンラインで無料受講できるサービスです。場所や時間にとらわれず受講することが可能で、他の受講生と掲示板を通じたディスカッションなども行うことができる仕組みになっています。今回「幼児教育に新しい風を」と題した講座は、私が実践を通して開発した「KUNOメソッド」の教育内容・教育方法についてお話しするもので、全30回の内容で構成されています。できるだけ具体的にお伝えする予定ですが、その内容は以下の通りです。
- 第1週
第1回 今幼児教育が注目されている
第2回 KUNOメソッド 3つの教育理念
第3回 教科前基礎教育とは何か
第4回 事物教育はなぜ必要か
第5回 対話教育のめざすもの
第6回 6領域指導の内容
第7回 未測量で学ぶこと
第8回 未測量授業の実際
第9回 位置表象で学ぶこと
第10回 位置表象の授業の実際
第11回 数の学習はどうすべきか
第12回 数の授業の実際- 第2週
- 第13回 図形のセンスを磨くために
第14回 図形の授業の実際
第15回 言語領域の課題
第16回 言語領域の授業の実際
第17回 生活領域の課題と授業の実際
第18回 幼児期の教育方法はどうあるべきか - 第3週
- 第19回 三段階学習法での実践
第20回 子どもの取り組み(A)斜めの線は難しい
第21回 子どもの取り組み(B)円錐づくり
第22回 子どもの取り組み(C)四方からの観察
第23回 感覚教具・集中現象・敏感期 モンテッソーリから学ぶ
第24回 螺旋形教育カリキュラム ブルーナーから学ぶ - 第4週
- 第25回 最近接領域をどう生かすか ヴィゴツキーから学ぶ
第26回 可逆的な思考を育てる ピアジェから学ぶ
第27回 原教科とは 遠山啓氏から学ぶ
第28回 オリジナル教具・教材を通して広がる輪
第29回 KUNOメソッドによる海外教育支援
第30回 幼児教育に新しい風を
講座の内容について、少し解説します。
最初に、KUNOメソッドの教育理念について説明します。「教科前基礎教育」「事物教育」「対話教育」の3つの教育理念について伝えます。「教科前基礎教育」は、教育内容について、また「事物教育」・「対話教育」は、教育方法について語ることになりますが、この中で特に「事物教育」の重要性を受け止めていただきたいと思います。次に、6領域の内容について、なぜ学ぶか、何を学ぶかをお伝えします。「未測量」「位置表象」「数」「図形」「言語」「生活」の6つの領域が将来の教科学習とどうつながっていくかを解説するとともに、具体的な学習内容についても言及する予定です。
教育内容についてお伝えした後、今度は教育方法についてお伝えします。幼児期の基礎教育の方法として大事なことは、「事物教育」と「対話教育」です。物事に働きかけ、試行錯誤することによって考える力を育成する、その方法をぜひご覧ください。子どもの取り組みの中で、我々が実践している「3段階学習法」は、KUNOメソッドの中核をなすものです。体を使い、手を使い、頭を使ってひとつの課題を解決していく方法は、実践の現場から発想し積み上げたものです。この教育法は研究室からは決して生まれてきません。その3段階の授業の実際を見ていただくことで、KUNOメソッドの特徴をつかんでいただけると思います。また、子どもたちは物事をどのように解決していくのか、子どもたちの取り組みも紹介する予定です。大人とは違った発想をする子どもたちに、どんな経験をつませるのが有効かを考えてみたいと思います。
次に、KUNOメソッドの教育法を支える理論的背景について解説する予定です。現代の幼児教育改革を支える理論的背景をしっかりと理解し、その上で現場に立たないと、実践経験の理論化ができません。私は、研究者の道を断念し、実践の現場に入りました。その時の想いは「教育改革は具体的でなければならない」ということでした。どれだけたくさんの理論書を読むかではなく、どれだけ多くの実践例を積み上げるかに注力しなければ、教育の現場は変わりません。その意味で、子どもの前に立つ保育者は、どの学年の教師よりも専門性を持たなければなりません。しかし一方で、理論ありきの実践では、子どもの本当の姿が見えません。「子どもに学ぶ」という姿勢をどれだけ持てるか・・・ここに実践者の姿勢が問われます。ですから、今回もそれぞれの人たちの理論を比較するということではなく、子どものいる現場でどのように受け止め、実践に生かしたかを話すつもりです。過去の文献に学ぶということは、子どもを見る視点をたくさん持つということでもあり、また自分の教育実践を理論化するためにもどうしても必要です。私は、モンテッソーリ、ブルーナー、ヴィゴツキー、ワロン、ピアジェ、遠山啓などの文献に学び、理論構築を図ってきましたが、現場の人間にとって一番参考になるのは、遠山啓氏の「原教科」の発想だろうと思います。KUNOメソッドの根幹をなす「原教科」の発想は、多分これまでの幼児期の基礎教育理論の中では初めてではないかと思います。遠山氏も、実践の現場で理論構築をしていますから、その意味でも、現場の人間にはよく理解できるのではないかと思います。

以下のサイトにアクセスして、ぜひ受講登録をしてください。
「gacco」公式サイト | http://gacco.org/ |
講座名 (講座番号) | 「幼児教育に新しい風を」 - KUNOメソッドによる幼児のための「考える力」教育 (ga060) |
講座URL | https://lms.gacco.org/courses/course-v1:gacco+ga060+2016_03/about |
受講登録 | →こちらのページよりご登録いただけます |
開講日 | 2016年3月9日 |
学習期間 | 4週間 (全30回) |
受講ガイド | http://gacco.org/manual.html |