週刊こぐま通信
「室長のコラム」基礎学力総点検
第481号 2015/5/8(Fri)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

こぐま会のばらクラス(年長児)は、4月25日をもって基礎学力を育成する「ステップ4」までの授業を終了し、5月からは応用段階の学習に入っています。4月26日の女子校合格フェア講演会では、「基礎学力点検法」について、具体的にお伝えしました。その内容は以下の通りです。
1. 基礎段階の学習で、もう一度チェックしておくべき内容
a. 未測量 | シーソー / 言葉による関係推理 / 量の3等分 |
b. 位置表象 | 右手-左手 / 地図上の移動 / 四方からの観察 |
c. 数 | 暗算能力 / 数の構成 / 違いはいくつ / 一対多対応 / 等分 |
d. 図形 | 図形模写 / 図形構成のスピード / 図形分割(補助線の入れ方) |
e. 言語 | 多様化したしりとり / 話の内容理解 / お話づくり / 発表力 |
f. その他 | 手先の巧緻性 / 鏡映像 / 理科的常識 / 課題画 |
2. 考え方の基本をしっかり身につける
a. 比較する | 数の比較 / 量の比較 / 図形の比較 |
b. 違いを探す | 二者の異同 / 一対一対応 / 同図形発見 |
c. 系列化する | 量の系列化 / 位置の系列化 / 時間の系列化 |
d. 相対化する | 量の相対化 / 位置の相対化 |
e. 関係を考える | 三者関係の推理 / 言葉による関係推理 / 交換(置き換え) |
f. 視点を変える | 左右関係 / 四方からの観察 / 観点を変えた分類 / 数のやりとり |
g. 逆に考える | 逆対応 / 逆思考(数の増減・移動・逆しりとり) |
h. 対応づける | 一対一対応 / 一対多対応 / 順対応 / 逆対応 |
i. 等分する | 量の等分 / 数の等分 / 図形の等分 |
j. まとめる | ひとまとまり / 包含除 |
k. 構成する | 数の構成 / 図形構成 |
l. 分割する | 数の分割 / 図形分割 |
m. 法則性を発見する | 並び方の法則性 / 変化の法則性 / 回転推理 |
n. 変化に対して敏感 になる | つみ木の変化 / 量の変化 / 回転推理 / 位置の移動 |
3. 受験で大事な3つの課題をどう解決するか
a. 指示の聞き取り
b. 時間制限
c. ていねいさ
b. 時間制限
c. ていねいさ
4. 入試ではどのように基礎学力が求められているか
- 2015年度入試問題を使って -
- 2015年度入試問題を使って -
まず最初に、基礎段階で学習した内容の中で、入試で良く出される内容をチェックしてもらうために、その項目を一つずつ説明しました。そしてそれを実際のペーパーで行ってもらうために、27枚のペーパーを用意しました。また、基礎段階の学習で身につけておくべき「ものの見方」について領域を超えて提示し、それをしっかり身につけることを強調しました。最近の入試問題は、そうした領域を超えた「ものの見方」が問われているからです。特にこの中で「視点を変えてものを見る」「逆に考える」ことの大切さを伝えました。
最後に、昨年行われた2015年度入試の問題の中で、基礎学力を点検するのに好都合な問題を30問選び、そこで求められている基礎的学力を分析し、それを使ってご家庭で点検してもらうようお願いしました。基礎的な問題とはいえ、入試問題は相当工夫されています。問題の意図の聞き取りと、何を答えたらよいのかの理解がしっかりできなければなりません。そうした聞き取りの練習も含めた基礎学力の点検であることを伝えました。入試問題の8割はこの中から出てくるわけですから、過去問を使った基礎学力の点検は、すなわち過去問トレーニングの開始ということになります。
私が強く訴えたのは、毎日数多くのペーパーをこなすのではなく、1枚のペーパーにこだわってほしいということです。そこで何が問われているのか、どこまで理解でき、どこから理解できなくなっているのかを、保護者がしっかり把握することが大事です。枚数をこなす機械的なトレーニングでは、今の時代に求められている「作業能力」「思考力」「問題解決力」は身に付かないということをお伝えしました。