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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

応用段階の学習に入る前に

第432号 2014/4/18(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 昨年9月から始まった「セブンステップスカリキュラム」のうち、基礎段階のステップ4までの学習が4月12日に終了しました。5月連休前まで「ステップ4」の内容に関するトレーニングが続きます。連休明けから始まる応用段階の学習を考えると、今のうちに基礎段階の学習内容をしっかりと身につけておかなければなりません。春季講習会と、15日から始まったまとめ授業における子どもたちの様子から、もう少しトレーニングを積まないといけない課題が明らかになってきています。430号のコラムで明らかにした「春休みの学習課題」のうち、もう少し練習する必要のある課題を領域ごとに列挙しますので、当面の家庭学習の課題にしてください。

未測量
  • シーソーの四者関係において、「3番目に重い」ものがわかる
  • お話を聞いて、三者~四者の関係を推理できる
未測量の学習においては、やはりシーソーの問題がキーポイントです。三者関係が基本ですが、実際の入試では四者関係に関する問題がほとんどです。四者関係の中でも、一番重いものや一番軽いもの、あるいは重い順に並べる課題はだいたい解決していますが、一つだけぽつんと「3番目に重い」を問われると間違えてしまう場合がよく見られます。その課題を繰り返し練習してください。
位置表象
  • 1つの交差点での曲がり方を理解できる
  • 1つのものの見え方を、その場に行かないで推理できる
位置表象の課題は、左右関係の理解がポイントになりますが、ステップ4で学習した「四方からの観察」は、左右関係に関する応用問題の中の典型的な課題です。一時期出題数が減ったこの課題が2年ほど前から急に復活し、特に、つみ木を使った四方からの観察がよく出されています。この課題はいろいろ発展していきますので、今のうちに基礎はしっかり固めておかなくてはなりません。また、応用段階で地図上の移動に発展していく交差点の曲がり方ももう少し練習し、とっさに判断できるようにしておく必要があります。
  • 量の三等分が分かる
  • 余りのある三等分が分かる
  • 一対多対応で、答えを導く手続きが分かる(お客さん・タイヤの問題等)
  • ある数の中に、指示された数のまとまりがいくつあるかが分かる(包含除)
数の領域では、これまで「正しく数える」ことを前提に、たし算やひき算の考え方につながる課題を練習してきました。その上でステップ4において、かけ算の考え方につながる「一対多対応」の学習をしました。この課題を学習すると、数の領域で扱う課題が一挙に広がります。複合問題の多くが、この一対多対応の考え方がベースになって問題が構成されています。今後の応用段階の学習を考えると、この一対多対応の考え方と、それを逆にしたわり算の包含除の考え方は、今しっかり身につけておかなければなりません。シーソーを使った「つりあい」の問題や、論理性が求められる「交換」の問題も、この一対多対応が基礎になっています。そうした意味で、今のうちにこの考え方をしっかり身につけておかなければなりません。
また、わり算の考え方につながる「三等分」については、量の三等分と余りのある数の三等分をしっかり練習してください。特に、ペーパーで行う「余りのある数の三等分」は、線むすびや囲む作業の仕方を工夫しないといけませんので、よく練習してください。
図形
  • 立方体が正しく模写できる
  • 何個つみ木を動かせば、指示された形ができるかが分かる
  • 三角パズルが短時間でできる
  • ある形を指示された数の三角に分割できる
図形問題の内容は少し変化してきているように思いますが、それでも図形構成や図形分割の問題がなくなったわけではありません。ステップ3や4で行った図形構成・図形分割の課題は、繰り返し行わなければなりません。中でも、三角パズルを使った図形構成・図形分割は、将来の図形教育にとっても大変重要なものです。また、立方体つみ木を使った図形構成も昔からある課題ですが、最近はつみ木の数当てよりも、見本のつみ木を何個動かせば指定のつみ木に変化するかといった問題が多く出されています。そのためのトレーニングとして、つみ木を1個ずつ動かし変化させていくトレーニングは、とても重要な基礎練習になっています。
言語
  • 前に戻るしりとり(あたまとり)ができる
  • 動きを表す言葉(動詞)を適切に使うことができる
  • 絵カードを時間的経緯に沿って並べることができる
  • 4場面の絵カードを使ってまとまった話ができる
言語領域のこれまでの学習を振り返ってみて、もう少し練習が必要だと思うものは、上の4つの課題です。言葉の理解に関しては、動詞の理解に関する問題が増えています。同じ言い方をしても意味の違う同音異義語のような課題は、今後も増えていくはずです。一方、話す力の代表として重視している「お話づくり」は、性格も反映してか、得意不得意の出やすい課題です。4枚の絵を時間的経過に並べてお話をつくる練習は、行動観察時に求められる表現力の練習にもなりますので、この時期に徹底して行ってください。
推理
  • 鏡に関する基本問題が理解できる
  • 立方体を何回か回転した時の向きをイメージできる
5領域に含まれない「その他」として扱った課題の中で、今しっかり練習しておかなければならない課題は、「鏡」と「回転推理」の2つです。鏡は日常的な課題ですが、四方観察の反対からの見え方と混乱しやすい課題です。また回転推理の課題は、最近の図形課題の中で求められる「回転」のセンスを育てるための基礎練習としては、とても良い課題です。

以上、領域ごとに現段階でもう少し徹底すべき課題を列挙しました。こうした課題があいまいなまま進んでしまうと、応用段階で大きな壁にぶつかってしまいます。そうしたことがないよう、5月連休明けから始まる応用段階の学習に備えたトレーニングをしっかり積んでください。

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